川崎市に実証水素ステーションを建設、産官連携で水素社会実現へ:蓄電・発電機器
水素製造・環境設備をはじめとする機械の製造を行っている三菱化工機は、2016年5月から神奈川県川崎市と協力して水素ステーションの建設を開始すると発表した。建設する水素ステーションには、海外から技術導入した充填パッケージやCO2排出量の低い製造装置などの運転を実証する役割があるという。
三菱化工機は2016年5月11日、川崎製作所(神奈川県川崎市)敷地内に新たな水素ステーションを建設開始すると発表した。目的は、開発中の水素ステーション充填パッケージの実証運転と、同社の主力製品である小型水素製造装置「HyGeia-A」の運転効率化の2点となっている。
同社は、2002〜2010年度まで燃料電池自動車(FCV)の普及に関する経済産業省の事業に参画し、早い段階から水素ステーションの建設や小型水素製造装置の納入に携わってきた実績がある。今回の水素ステーション新設にあたっては、最適仕様の確立、建設工事のコストダウン、適切なメンテナンス方法などを工夫し、水素ステーションのさらなる普及に向けた事業活動の足がかりにする。
新設する水素ステーションは、都市ガスを原料とし、水素ステーション内で水素を製造・供給するオンサイト型。機能面では、デンマークの大手メーカーであるH2 Logicから技術導入した水素ステーション充填パッケージ「CAR-100」を日本向けに改良したディスペンサー一体型のものを搭載し、充填効率の向上を図っている。また、CO2排出量が低いとして川崎市から認証を受けた小型水素製造装置「HyGeia-A」を搭載し、環境に配慮した仕様となっている。
水素ステーションの完成は、2016年11月頃になる見込み。建設の際は、20フィートコンテナによるユーティリティ設備のパッケージ化により、工事(基礎、配管、計装電気工事)の簡略化に取り組む。
なお、今回の実証用水素ステーションは、川崎市が進める「水素社会の実現に向けた川崎水素戦略」に基づく取組みの一環にもなっており、地方自治体と企業が連携・協力することで、水素社会の実現を目指す狙いがあるという。
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