サイバー攻撃に狙われる電力網、求められるセキュリティ:電力供給サービス(2/2 ページ)
スマートグリッドやスマートメーターの設置など、電力網がサイバー攻撃に狙われる可能性が生まれてきている。その中でカスペルスキーは電力網など重要インフラを対象としたサイバーセキュリティサービスを発表した。
制御システムの可用性を妨げずに防御
カスペルスキーが新たに投入するのは、包括的なサイバーセキュリティサービス「Kaspersky Industrial CyberSecurity(以下KICS)」である。KICSは、産業用制御システムをサイバーリスクから防御するためのソフトウェアとサービス群で構成される。産業ネットワークならびに制御機器とフィールドデバイスの保護を目的とした新技術と最先端のインテリジェンスを組み合わせて提供する。
KICSは、制御システム専用に開発した監視用ソフトウェア群「KICS for NETWORKS」とエンドポイント保護製品をもとに開発した「KICS for NODES」で構成。ITシステムとは異なり、稼働を最優先する制御システムの運用ポリシーや制約に合った形で最適化したサイバーセキュリティを導入可能だ。また、社員やベンダー向けの対サイバー攻撃演習「Kaspersky Interactive Protection Simulation」や、アセスメントサービスを通じて適切なアプリケーションやサービスを組み合わせて提供できる。さらに、高度なセキュリティインテリジェンス、ノウハウおよびスキルを提供するサービス「Kaspersky Security Intelligence Services」なども提供し、ネットワークや端末へのサイバー攻撃の予兆を早期に発見し、ビジネスへの影響を最小化できるという(図2)。
価格については、ユーザーの企業規模や導入方法などによって変わるが「目安としては1つの技術プロセスを全てカバーするサービスで考えた場合、25万ドル(約2700万円)程度になる」とKaspersky Lab クリティカルインフラストラクチャ・プロテクションビジネス部 部長のアンドレイ・スヴォーロフ氏は述べている。
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