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農業用水路2カ所に小水力発電所、落差20メートルと3メートルの違い自然エネルギー(2/2 ページ)

秋田県の農山村を流れる農業用水路2カ所で小水力発電所が運転を開始した。1カ所は水流の落差が20メートル、もう1カ所は3メートル弱で、発電に利用する水車の構造も違う。秋田県がモデルケースとして建設した小水力発電所で、導入効果をもとに県内の農業用水路に適用例を増やしていく。

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売電収入で農家の負担を軽減

 2つ目の小水力発電所は「六郷東根(ろくごうひがしね)小水力発電所」である。秋田県の中部を流れる丸子川の水を取り入れる農業用水路に建設した。長さが1キロメートル以上に及ぶ用水路の途中の100メートルだけを敷設し直して、その先端部分に水車発電機を設置する方式だ(図4、図5)。


図4 「六郷東根小水力発電所」の位置。出典:秋田県農林水産部

図5 「六郷東根小水力発電所」の全景(画像をクリックすると水車を拡大)。出典:秋田県農林水産部

 100メートルの距離で生まれる落差は2.81メートルである。発電に利用できる水量は最大で毎秒0.7立方メートルだが、稲作を行わない非かんがい期には0.4立方メートルまで減る。畑野小水力発電所と比べると落差が小さいため、発電能力は11kWである。年間の発電量は5.7万kWhを見込んでいて、一般家庭の16世帯分に相当する。

 発電機には落差が小さい場所に適した縦軸スクリュー水車を採用した。用水路から落ちてくる水流の勢いでスクリュー型の水車が回転して発電機を回す仕組みだ(図6)。水車と発電機のあいだには増速機が入っていて、水車よりも多くの回転数を発電機に伝えることができる。


図6 縦軸スクリュー水車の構造。出典:秋田県農林水産部

 2カ所の小水力発電所は同じ5月20日に運転を開始した。発電した電力は売電して、農業用水路の維持管理費に役立てる。それぞれ年間に560万円と42万円の売電収入を想定している。県が小水力発電所を建設して、各地域の農家が負担する用水路の維持管理費を軽減する目的だ。今後も県内の農業用水路で小水力発電に適した場所を調査して導入事例を増やしていく。

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