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蓄電池連携“停電対応”冷蔵庫を発売する、シャープの勝算:省エネ機器(3/3 ページ)
鴻海精密工業の出資を受け経営再建を進めるシャープだが、再建に向け苦しんでいるのがエネルギー関連事業である。新たに同社は同事業の一端を担う製品として停電時の長時間運転が可能な蓄電池連携冷蔵庫を発表した。
シャープの勝算はどこにあるのか?
太陽光パネルを中心としたエネルギー関連事業は、単純な製品の販売だけでは、全体的に市場環境は厳しくなってきている。それでも鴻海精密工業およびシャープがエネルギーソリューション事業に勝機を見いだした理由はどこにあるのだろうか。
エネルギー産業全体が単品ではなく全体的な価値を訴求する「ソリューション」へとシフトする中、シャープとしてもソーラーだけでなく蓄電池やHEMSなどと組み合わせたソリューション提案の強化を推進。その中でシャープでは、ソーラーや蓄電池、HEMSなどに加え、各種家電製品を製品ポートフォリオとして抱えているため、家庭のエネルギーを一元的に管理・運用できる可能性がある。
家庭用のエネルギーに関しては、政府が「2020年に標準的な新築住宅で、2030年までに新築住宅の平均でZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を目指す」という方針を示しており、補助金も用意されていることから、ZEH対応が広がりを見せるものとみられている。一方で、ソーラーなどの分散型電源が増え、蓄電池の設置が広がれば、電気を家庭で作って家庭で消費するという「自家消費」型の環境が生まれてくる。
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