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ミドリムシ燃料、油脂量40%アップの品種改良に成功:自然エネルギー(2/2 ページ)
微細藻類が生成する油脂を活用したバイオ燃料の研究開発が進んでいる。バイオベンチャーのユーグレナは、油を多く産生する「ユーグレナ」の変異体を選抜する品種改良手法の開発に成功したと発表した。野生株より約40%油脂を多く含むユーグレナ変異体を取得することに成功したという。
40%油脂を多く含むユーグレナ変異体を取得
個々の細胞観測を可能にした上で、次に研究グループが取り組んだのが、油脂を多く持つユーグレナの選抜である。細胞内の脂質を染める手法を活用し、蛍光強度の違いを利用して、作り出した多様な細胞集団の中から特に油脂を多く含むユーグレナを選抜できるか検証した。その結果、野生株より約40%油脂を多く含むユーグレナ変異体を取得することに成功したという(図3)。
今回研究ではユーグレナを選抜するセルソーターは既存のものを利用している。しかし将来的にはそのプロセスをImPACTプログラムで開発中のセレンディピターを用いて行うことを想定しているという。これは1兆個以上の細胞集団から、特定の細胞を迅速かつ低コストに発見し解析できる装置で、現在開発が進められている。研究グループでは、このセレンディピターを活用することで、より多くの質の高い情報をユーグレナから取得して選抜に用いることで、さらに油脂を大量に含んだユーグレナをより高速かつ的確に選抜できる可能性があるという。
また、可視化方法を工夫することで、油脂含有量以外にもビタミン含有量の多いユーグレナなどの産業的に有用な特徴を持つユーグレナを選抜することが可能になり、ユーグレナ以外の微細藻類にもセレンディピターの応用を検討することで、機能性成分やバイオ燃料の研究の加速が期待できるとしている。
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