「日本最大手のO&M事業者を目指す」ーーファースト・ソーラーが市場開拓へ本腰:エネルギー市場最前線(2/2 ページ)
米太陽電池大手のファースト・ソーラーは、日本国内で太陽光発電設備のO&Mサービス事業を本格化する。2016年秋に東京都内にコントロールセンター(集中監視室)を開設する計画だ。世界で合計5GWの発電設備にO&Mサービスを提供してきた実績を強みに、日本市場の開拓を目指す。
東京にコントロールセンターを開設
スマートジャパン 日本でどれくらいの顧客獲得を目指すのか。
テオフィロ氏 現在われわれは日本国内8カ所のメガソーラーでO&Mを行っている。今後さらに事業を拡大し、まず2016年末までに合計100MW(メガワット)分の太陽光発電所に対してO&Mサービスを提供していきたいと考えている。1MW程度のものから大規模なものまで、幅広い規模の発電所を対象にサービスを展開していく。
スマートジャパン 他社もO&M事業の強化を図っているが、ファースト・ソーラーの強みは何か。
われわれが強みとするのは現在、世界で合計5GW(ギガワット)以上の太陽光発電所のO&Mを手がけているという実績とそのノウハウだ。長年蓄積してきた実績と経験に裏付けられた先進的なツール群とサービスを提供できる。特に大規模メガソーラー向けでは、オーストラリアや米国で培ったノウハウがあり、他社ではできないサービスを提供できると考えている。そして他社と比較して大きな特徴となるのが、自社開発以外の発電所に対してもO&Mサービスを提供していくという点だ。
スマートジャパン 具体的に日本ではどういった体制でO&Mサービスを提供していくのか。
テオフィロ氏 まず日本では2016年の秋ごろに東京都内にコントロールセンター(集中監視室)を開設する計画だ。ここには専任の日本人スタッフが常駐し、われわれがO&Mサービスを提供している発電所の状態を24時間体制でリアルタイムにモニタリングしていく。発電量のレポートなどはもちろん、発電所の状態を常に監視し続けることで、どこに不具合が発生しそうかなども事前に推測しやすくなる。さらに不具合が発生した場合は、コントロールセンターから人員の手配などをすぐに行える体制も整えていく。
サービスの提供方法では、自社だけでなく太陽光発電関連の技術を持つ他社との提携も進めていく方針だ。例えば地方の小規模な太陽光発電所の場合は、提携企業に委託してO&Mサービスを提供していくという場合もある。
ファースト・ソーラーでは日本のO&M市場を戦略的市場と捉えており、大きな事業投資をすべき市場だと考えている。コントロールセンターの開設はその意思表示の一部だ。顧客視点に立つと日本メーカーのサービスに安心感を感じるという面があるかもしれないが、われわれの海外での実績や実際の運用成果などを武器に顧客を開拓していきたい。長期的には日本市場のO&M市場の成長に合わせてわれわれも事業を拡大していく計画だ。
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