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植物由来のバイオエタノールで走る燃料電池車、日産が2020年に製品化:電気自動車(2/2 ページ)
日産自動車はバイオエタノールで走行する燃料電池システムを開発し、同システムを搭載した燃料電池車の製品化を進めることを発表した。バイオエタノールから水素を作り出し、固体酸化物形燃料電池(SOFC)による発電で、自動車を走行させる。
カーボンニュートラルを実現するクリーンな自動車
「e-Bio Fuel-Cell」を利用した電気自動車の最大の特徴が、限りなくクリーンな自動車を実現できる点である。EVやFCVはクリーンな自動車だといわれているが、それぞれ電気や水素を生成する際にはCO2を発生させている場合が大半である。
しかし、「e-Bio Fuel-Cell」では、走行時に排出されるCO2が、バイオエタノールの原料となるサトウキビの成長過程で吸収するCO2と相殺されることで「カーボンニュートラルサイクル」に近づけることができる。CO2を増やさない自動車ということができるのである(図4)。
サトウキビやトウモロコシなどを原料にしたバイオエタノールは、北南米、アジアなど世界の多くの国で実用化されている。さらにブラジルなどでは、ガソリンスタンドで100%エタノールの供給インフラ環境が整っており、これらの国では、安価な燃料で自然に優しい自動車走行が可能になるとしている。日産自動車ではこれらのバイオエタノールインフラのある国々を中心に、2020年をめどに商用車で「e-Bio Fuel-Cell」採用自動車を発売する方針を示している。
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