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天然ガスのパイプライン整備に国が動き出す、都市ガスの新規参入を促進:法制度・規制(2/2 ページ)
2017年4月に迫った都市ガスの小売全面自由化だが、ガスを供給するパイプラインの整備が遅れている。都市ガスの供給区域は大都市を中心に国全体の6%しかカバーできていない。国が主導してパイプラインの整備を進める一方、小売の新規参入を促すため既存のガス会社に営業行為の規制を加える。
既存のガス会社に営業行為の規制
新規参入事業者が家庭や企業に都市ガスを供給するにあたっては、導管の利用だけではなく、ガス管の漏えい検査やガス機器の適応性確認を既存のガス会社に委託するケースが増える。委託を受けたガス会社や関連会社が不当な営業行為を実施しないように、政府はガイドラインを策定して規制する方針だ。
たとえば新規参入事業者がガス機器の事前調査を既存のガス会社に委託した場合には、その費用を通常の料金よりも高くしたり、調査に合わせて営業活動をおこなったりすると、「問題となる行為」とみなす(図4)。ガイドラインを守らないガス会社に対しては、資源エネルギー庁や電力・ガス取引監視等委員会が報告徴収を実施したうえで罰則を適用することもある。
既存のガス会社の関連会社が調査を受託するケースでも、同様の営業行為を規制する。加えて関連会社がガス会社から調査を受託する場合と同等の料金を設定するように「望ましい行為」として推奨する(図5)。こうした望ましい行為は努力義務で、たとえ実行しなくても罰則は科せられない。
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