住宅用FITの終了を見越したリフォーム商品、鍵は「走る蓄電池」:スマートハウス(2/2 ページ)
2019年ごろから住宅用太陽光のFIT買取が終了する家庭が登場しはじめる。これを見据えた住宅リフォーム商品を、積水化学工業が発売する。電気自動車やプラグインハイブリッド車を住宅とつなぐ「Vehicle to Home」を活用して、これまで売電していた電力を住宅全体で有効活用できるようにする狙いだ。
住宅用FIT終了後を見据える
積水化学工業ではこれまでに累計16万棟を超えるPV住宅を建設してきた。その平均PV容量は約4.8kW(キロワット)で、年間発電電力量は約5000kWh(キロワット時)。そのうち約1700kWhの電力は自家消費用に、残りの約3300kWhは売電用の電力として利用されているという。
今回のV2Hリフォームの発売にあたり、ポイントとなるのは現在売電されている約3300kWhの電力である。2019年ごろから再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)による家庭用太陽光の買取が終了する住宅が増え始めるからだ。売電が
できなくなれば多くの余剰電力の発生が予想される。
V2Hリフォームはこの余剰電力を、EVやPHEVを組み合わせて有効活用することを狙った商品だ。積水化学工業では2030年のEV・PEHVの普及率を20%とした場合、同社の建築したPV住宅のうち約5〜6万棟のユーザーがEV・PEHVを保有していると想定している。こうした家庭がFIT終了後も余剰電力をムダにせず、経済的なメリットを受けられるよう新商品もV2Hリフォームを用意した。
当面は既に同社PV搭載住宅のユーザーでEV・PHEVを所有している顧客の他、今後EV・PEHVへの買い替えを予定している顧客を対象に提案を進める。初年度は100件の受注を目指す方針だ。
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