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未利用の維持流量から580世帯分の電力、岐阜県にダム式水力発電所:自然エネルギー
中部電力の「丹生川水力発電所」が営業運転を開始した。これまで未利用だった「丹生川ダム」から放流される「河川維持流量」を活用して発電し、年間発電量は580世帯分に相当する約210万kWhを見込んでいる。
中部電力が2015年3月から岐阜県高山市で建設を進めていた「丹生川(にゅうかわ)水力発電所」が完成し、2016年6月29日から営業運転を開始した(図1)。岐阜県が管理するダムに中部電力が建設した水力発電所としては、郡上市の「阿多岐(あたぎ)水力発電所」に続き2カ所目となる。
丹生川水力発電所は一級河川の神通川水系荒城川(あらきがわ)建設された「丹生川ダム」の直下に位置している。丹生川ダムから放流される「河川維持流量」を利用して発電するのが特徴だ。河川維持流量とは下流地域の治水や環境保護を目的に放流している流量のこと。阿多岐水力発電所もこの河川維持流量を利用して発電を行っている。
丹生川ダムから放流される河川維持流量と約48メートルを有効落差を利用し、水車で発電機を回して発電する。発電機の最大出力は350kW(キロワット)を予定しており、最大使用水量は毎秒1立方メートル、年間の発電量は約210万kWh(キロワット時)を見込んでいる。未利用の維持流量を活用して、一般家庭約580世帯分の使用電力量を発電できる。
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