東北電力で新たに営業運転を開始した新仙台火力発電所3号系列(仙台市宮城野区、出力98万kW)は、経済性の向上と二酸化炭素排出削減を実現するため、新設したものとなる(図1)。
3号系列は、経年化が進んだ1号機(使用燃料:重油、35万kW)を2015年3月に、2号機(同:天然ガス・重油・原油、60万kW)を2011年10月にそれぞれ廃止し、新たにLNGを燃料とする高効率コンバインドサイクル発電設備(ガスタービン+蒸気タービン+発電機、49万kW×2軸)として建設したものとなる。
2015年12月に営業運転を開始した3−1号と、2016年7月に営業運転を開始した3−2号で構成されている。これまでのコンバインドサイクル発電設備に関係する運転・保守で培った知識や技術を設計に反映し、信頼性と熱効率の向上に努めた結果、世界最高水準となる60%以上の熱効率を達成した。これにより、従来型のガス火力と比べ、燃料消費量および二酸化炭素排出量がそれぞれ約3割削減できるものと、同社は試算している。
また、3号系列の設備の特徴として、同社初のLNG燃料設備を発電所の構内に設置している。LNG燃料設備は、同当社企業グループである日本海エル・エヌ・ジーが、日本海側に新潟基地を保有しているが、今回、太平洋側にLNG燃料設備を設置することで、自然災害に対するリスク分散が図られる。
さらに、東日本大震災で同社火力が被災した経験を踏まえて、配管サポートの強化や発電所構内に防潮堤を設置するなどの耐震・津波対策を実施することで災害への備えも強化している。
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