「企業の環境対策」は事業に引き付けて考える時代に、NECが国連SDGsを導入へ:省エネ機器(2/2 ページ)
NECは新たに環境への取り組みとして、国際連合(以下、国連)で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を導入し、より事業に引き付けた形で運営を進めていく方針を示した。
国連のSDGsに沿いNECの事業展開に合わせた形に
NECではこれらのように地球温暖化による気候変動を軸とした環境対策を中心に取り組んできたが、2015年に開催された「第21回気候変動枠組み条約締結国会議(COP21)」と「国連持続可能な開発サミット」を受け、環境への取り組みを広げる方針である。
特に新たな取り組みとして進めていくのが「持続可能な開発目標(SDGs)」への対応である。SDGsは「国連持続可能な開発サミット」で採択された「われわれの世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中で、目標として設定されたものである。17の目標と169のターゲットで構成されており、2015年から2030年までに、貧困や飢餓、エネルギー、気候変動、平和的社会など、持続可能な開発のため、多岐にわたるテーマに取り組むものだ(図3)。
事業展開がSDGsと合致
NECでは、中期経営計画として「安全・安心な都市・行政基盤」「安全・高効率なライフライン」「豊かな社会を支える情報通信」「産業とICTの新結合」「枠を超えた多様な働き方」「個々人が躍動する豊かで公平な社会」「地球との共生」の7つの社会価値創造テーマへの取り組みを進めている。これらがSDGsと合致するというのだ。
同社執行役員常務の大嶽充弘氏は「生体認証ソリューションやビデオ監視ソリューション、赤外線カメラによるパンデミック対策や緊急モバイルネットワークなど既にNECが提供している製品やサービスがSDGsの描く方針に合致しており、これらも持続可能な世界の実現に必要なことである。IoTを活用した新たな価値創出基盤などもSDGsや気候変動問題などの解決に寄与するエンジンとなる」と述べている。
大嶽氏は「NEC自身が長期の削減目標などを掲げてそこに近づけるような環境対応のやり方もあると思うが、現状ではNECが提供する製品やサービスで貢献できることを重視する方が、総合的に効果を高められると現在のところは考えている。環境対策は基本的には事業との兼ね合いが難しい面があるが、SDGsに沿った展開を進めることで、事業に引き付けた形で環境貢献を進めていくことができる。特にセーフティやネットワークソリューション、リテールなどの分野で積極的に進めていきたい」と述べている。
関連記事
- 自然災害の影響などをCO2換算し5000万トン相当のCO2排出量削減を目指すNEC
NECは2015年7月14日、環境への取り組みの成果について発表。新たに早稲田環境研究所と共同で気候変動に伴う影響への「適応」に貢献した価値を定量的に評価する手法を開発した。 - 激しさを増す世界の“蓄電池競争”、鍵を握るカリフォルニア市場でNECが受注
NECは米国カリフォルニア州の電力会社に大型の蓄電システムを導入。同州では再生可能エネルギーによる発電設備の設置拡大に伴い、電力会社に蓄電システムの導入を義務化している。系統電力の安定化に向けた蓄電システムの需要拡大に伴い、メーカー同士の受注競争は今後も加熱しそうだ。 - ユニリーバは、なぜ全ての電力を再生可能エネルギーで賄うのか
ユニリーバはグローバルで2030年までに世界中の全ての事業所で使用する電力を再生可能エネルギーに切り替え「カーボンポジティブ」とする。既に世界に先駆けて日本法人では全事業所で使用する電力を100%再生可能エネルギー化した。なぜ、ここまで積極的に再生可能エネルギーの採用に踏み切るのか。ユニリーバ・ジャパンで開催されたパネルディスカッションの様子をお伝えする。 - アップルの再生可能エネルギー利用率が87%に、太陽光・風力・小水力・地熱を活用
2015年4月22日の「アースデイ」に当たり、アップルは環境問題への取り組みをまとめた。同社は事業運営において再生可能エネルギーの利用率100%を目指して投資を進めているが、現在は87%まで高まっていることを明らかにした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.