家庭の総合ソリューションに勝機見いだすシャープ、ZEHに期待:変転する太陽光発電市場(2)(2/2 ページ)
太陽光発電市場は2015年度でモジュール出荷量が前年割れをし、市場環境は転機を迎えようとしている。こうした中、主要メーカー各社は何を考え、何に取り組んでいくのか。第2回ではシャープの考えと取り組みを紹介する。
ZEH時代に持つ高効率の強み
ZEHとは、家庭での使用エネルギーよりも創出エネルギーの方が上回るような家屋のことを指し、政府では2020年までに標準的な新築住宅でZEHを実現することを目指している。既にハウスメーカーなどでは提案を進めているが、ZEHを実現するために創エネ・省エネ・畜エネ性能に優れた製品を家庭で組み合わせていくことが必要だ。
創エネ面では、家庭での使用量を賄う発電量を実現しないといけないため、発電量の最大化が求められる。モジュールの高効率化とともに屋根に多くの量を載せる必要がある。これらに対し「住宅向け太陽電池『BLACKSOLAR』シリーズ新製品ではこれらのニーズに対応するため、モジュール変換効率を19.1%から19.6%に高めた他、太陽電池セルの数も従来の42個のから48個に増やして大型化を図ることで、最大出力も256W(ワット)に高めた」(桃井氏)。
「家」を握る強みを生かす
今後は、分散型電源が増え、蓄電池の設置が広がれば、電気を家庭で作って家庭で消費するという「自家消費」型の環境が生まれてくる。ZEHを軸としソーラーだけでなくクラウド蓄電池やHEMSなどのソリューションが求められる中、シャープではこれらの製品群を全て抱える強みを持つ。桃井氏は「さらに、当社は長く家電を展開してきて家を知っていることも強みだ。家を中心とした創エネ、蓄エネに加え、既存の家電製品で使う部分の省エネなどにも貢献する家庭のトータルソリューションで強みを発揮していく」とシャープの特徴について述べている(図3)。
連載:「変転する太陽光発電市場」
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