仙台に水素フル活用のコンビニ登場、太陽光も使い災害時は避難拠点に:自然エネルギー
水素エネルギーの活用を進めている宮城県では、仙台市宮城野区幸町に初の商用水素ステーションの建設が進んでいる。この隣接地にセブン-イレブン・ジャパンが店舗を整備することが決まった。純水素燃料電池などを活用して店舗の一部電力を賄う他、災害時には太陽光発電や燃料電池車を活用し、避難拠点としても機能する。
宮城県は仙台市内に建設中の商用水素ステーションに隣接する県有地を活用し、「水素エネルギー利活用型集客施設」の誘致を目指していた計画で、整備事業者をセブン-イレブン・ジャパンに決定したと発表した。
建設予定の商用水素ステーションは岩谷産業が整備を進める「イワタニ水素ステーション 仙台」(仙台市宮城野区幸町)で、2016年度内の完成を目指している(図1)。オフサイト式の水素ステーションで、1時間当たり燃料電池車(FCV)6台を満充填(じゅうてん)できる見込みだ。
セブン-イレブンジャパンは同水素ステーションの隣接地約1600平方メートルを宮城県から20年間賃借し、コンビニエンスストアの店舗を整備する。同店舗にはその時点で最高の発電能力を持つ純水素型燃料電池を設置し、水素から発電した電力の一部を店舗で活用する計画だ。
さらに太陽光発電設備の導入も検討し、防災拠点としての機能も備える。災害時には純水素型燃料電池と太陽光発電設備、FCVからの給電によって店舗運営に必要な電力を確保することで、避難住民の情報通信機器への電力供給や飲食物などの提供に取り組む。
同店舗の近くには、建設中の「イワタニ水素ステーション 仙台」に加え、県の所有する「保健環境センター」にホンダの「スマート水素ステーション」(SHS)が整備されている(図2)。宮城県および仙台市の水素供給拠点となっているエリアである。
セブン-イレブン・ジャパンではこうした水素拠点に構える店舗として、来客者に向た水素エネルギーに関する展示パネルなどを設置する他、宮城県が行う水素関連イベントの普及啓発活動にも協力する。2016年10月から店舗の整備を進め、オープンは2017年2月となる予定だ。
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