「ウユニ塩湖」を悩ますプラゴミ、太陽光で油化装置を動かし石油に:太陽光
「天空の鏡」とも呼ばれ、その豊かな自然環境から観光地としても人気がある南米ボリビア「ウユニ塩湖」。一方、近年増加するゴミ問題が課題となっている。ソーラーフロンティアはこうしたウユニ塩湖の自然保護と目指す環境保全団体に対し、太陽光パネル40枚を提供した。プラスチックゴミを分解して石油に変える小型油化装置の動力として利用される。
ソーラーフロンティアは、南米ボリビアにある「ウユニ塩湖」の自然保護と観光業の両立を目指す環境保全団体「Projecto YOSI」に対して、このほどソーラーパネル40枚を提供した。同団体は、ウユニ塩湖周辺で深刻化する観光客などによる環境汚染問題に取り組んでおり、同社のソーラーパネルは、プラスチックゴミを分解して石油に変える小型油化装置の動力として使用される。
ウユニ塩湖は、塩湖全体の高低差が50センチメートル以内という世界で最も平らな場所であるため、雨季には雨が流れることなく大地に薄く膜を張ることで空を湖面に映し出す「天空の鏡」として知られている(図1)。最近では人気の観光地となってきたが、増加するゴミを処理する施設がないため、住民や家畜の健康被害を引き起こしているだけでなく、特産品である塩湖で採取される塩の質が悪化するなどの環境面の問題が深刻化しているという。
このゴミ問題の解決を目指す「Projecto YOSI」は、日本人ツアーガイドが、現地の政府や教育機関などに地道に働きかけて実現した環境保全プロジェクトだ。同団体の代表を務める本間賢人氏は、ウユニ塩湖の絶景よりもゴミの多さに驚いたことを機に、プラスチックゴミを分解して石油に変える小型油化装置を導入し、装置のデモンストレーションを中心とした自然保護に関する啓発活動を開始した。当初は関心の薄かった現地の人々も、家からプラスチックゴミを持ってくるなど次第に協力してくれるようになったという。2016年1月には世界的に有名なダカールラリーにおいてボリビア環境省とブースの共同出展を実現し、現在ではボリビアの環境省、市役所、大学などが参画する国レベルの取り組みに発展した。
本間氏は現在、国立サン・アンドレス大学工学部環境問題プロジェクト客員講師や、同大と環境省の共同プロジェクト統括者を務めている。それと同時に、環境教育に重点を置いたボリビア初のリサイクルセンターの設立を目指す。本間氏は「夢は、ウユニ塩湖を観光と環境を両立するモデルスポットとして世界に認知してもらうこと。まずは現地主導でできるリサイクルの循環をつくることが不可欠であり、現地の電力に頼らない太陽光発電を利用して油化装置を導入した」としている。
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