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火力発電所の排出CO2を50%回収、大規模実証でCCS技術を実用化へ蓄電・発電機器(2/2 ページ)

火力発電所から排出されるCO2を削減できる分離・回収技術の実用化に向け、大規模な実証事業が始まる。東芝など13法人が福岡県の火力発電所に大規模な実証設備を建設する。技術だけでなく環境評価や制度面の課題も検討し、2020年度までにCCS(二酸化炭素の回収・貯留)技術の実用化を目指す計画だ。

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実証規模はこれまでの50倍に

 東芝は今回実証を行う三川発電所で、2009年9月からパイロットプラントを建設してCO2分離回収システムの研究開発を行っている(図2)。このパイロットプラントのCO2回収量は1日当たり10トン程度。こうしたこれまでのノウハウを生かして実施する今回の実証は、この50倍の量のCO2を回収することになる(図2)。


図2 三川発電所に建設したパイロットプラント 出典:東芝

 東芝のCO2分離・回収技術は、化学吸収法による燃焼後回収技術を用いている。運転条件に応じてCO2を選択的に吸収、放出する特性を持つ特殊な吸収液を用いているのが特徴だ。今回の実証ではアンモニア化合物の「アミン」を吸収液として利用する。火力発電所から発生する排ガスを吸収液のある吸収塔に導引して排ガス中のCO2を吸収させる。このCO2を多く含んだ状態になった吸収駅は、再生塔に送って加熱するとCO2を放出するため、再び吸収液として利用することができる。このサイクルを繰り返すことでCO2を連続的に回収していく仕組みだ(図3)。


図3 今回建設する実証設備のイメージ 出典:東芝

 こうした燃焼後回収技術は、石炭火力、石油火力、ガス火力、ガスコンバインドサイクル火力、バイオマス火力など、CO2を発生するさまざまなプラント形態に適用できる。既設プラントに付設することも可能だ。一般的に火力発電設備は発電コストが安い。一方でCO2を多く排出するというデメリットがあり、これを補える技術が実用化できればそのメリットは大きい。地球温暖化対策に貢献する技術として、その成果に大きな期待がかかる実証だ。

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