ガス小売り全面自由化により開かれる3.7兆円市場、動く設備やシステム:法制度・規制(3/3 ページ)
調査会社の富士経済は、2017年4月を予定している都市ガスの小売り全面自由化に向け、関連する設備やサービスの市場動向を調査し予測している。
マッピングシステム
マッピングシステム(GIS、Geographic Information System)は、地下に埋設された導管の詳細図や顧客の契約状況、導入されている設備状況などを集約・デジタル化し、システム内の地図上にプロットして見える化や、新設・改修工事の設計などをするためのシステムである。
集約した情報は、導管・設備の維持管理、顧客情報の管理、営業戦略の立案、経年管対策、保安業務などに役立てることができる。提供形態にはパッケージ型やクラウド型などがある。ただ、大手・準大手事業者のほとんどが既に導入済みであり、顧客数10万件未満の中小事業者でも比較的導入が進んでいるため、市場は飽和気味だとされている。
市場規模は2016年度が2.5億円、2017年度が3.0億円、2020年度が5.1億円を予測する。
超音波式ガスメーター
マイコンガスメーターはガスの使用量を計測する計測器としての機能に加えて、ガス漏れなどの異常検知時や地震発生時にガスの供給を遮断したり、警告を表示するといった保安機能を有したものである。
用途としては、LPガス向け、都市ガス向け、あるいは家庭用、業務用、産業用に分類され、構造的には膜式、回転式、タービン式、超音波式などに分類される。現在、最も普及しているのは膜式であるが、ガス業界団体や都市ガス事業者などを中心にガスメーターのスマート化についての検討が進められており、膜式よりもデータ通信に優れた超音波式ガスメーターが徐々に市場浸透度を高めつつある。
超音波式ガスメーターは、流体の流れの中に超音波センサーが一組あるだけのシンプルな構造となっているため、膜式と比較して大幅な小型化が可能となり、通信機能の拡張性も向上している。また、流路には機械的な稼働部が無いため、圧力の損失がほとんどなく、省エネルギー対策に効果があり、精度の高い計測が可能な点も利点である。
都市ガス向けは、東京ガスが2018年からの本格導入を発表している。他の都市ガス事業者に関しては、全面導入の時期を探りながら、実証を重ねている段階にあると予測される。LPガス向けの導入実績は年々拡大しており、LPガスメーターにおけるウェイトも拡大するとみられる。
市場規模は2016年度が74億円、2017年度が72億円とほぼ変わらないが、2020年には143億円へと成長する予測を示している。
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