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宮崎県えびの市で地熱発電の調査が開始、調査井を掘削へ:自然エネルギー
年間を通じて安定的に発電が可能で、国内に豊富な資源がある地熱発電への期待が高まっている。宮崎県えびの市で新たに地熱発電の調査井掘削による調査が開始された。
新たに宮崎県えびの市で開発される尾八重野地域における調査は、アストマックス・トレーディングが石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)による「平成28年度地熱資源開発調査事業費助成金交付事業」の採択を受け、地元関係者の理解を得たうえで、実施することを決めたものだ。
アストマックス・トレーディングでは2014年12月に同地域において地表調査を完了しており、同調査から継続採択され、今回調査井掘削による調査を実施することとなった。調査事業は、坑井掘削、物理探査、温泉モニタリング調査などを含んでおり、調査期間は2016年7月〜2017年2月としている。
JOGMECによる地熱発電における助成金交付事業は、地熱資源量の把握や地下構造を明らかにする調査事業に地下資源特有の開発リスクがあることからその軽減を図るものだ。これにより日本の地熱資源開発の取り組みを促進することを目的としている。具体的には、地元の地熱関係法人(地熱資源を直接利用し、地元の地域活性化につながる事業を行う法人など)および地熱資源開発事業者(地元の地熱関係法人以外の法人)が地表調査事業、または坑井掘削事業の実施に必要な経費のうち、JOGMECが認める経費(補助対象経費)について助成金を交付する(図1)。
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