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停止中の「柏崎刈羽原発」では何が行われているのか:エネルギー管理(4/4 ページ)
全原子炉が停止している東京電力の「柏崎刈羽原子力発電所」。現在も原子力規制委員会による安全審査が続いているところだ。同発電所では2011年に起きた福島第一原発での事故を受け、これまでどういった安全対策を進めてきたのか。内部を取材した。
現在も6000人以上が勤務
柏崎刈羽原発では、原子炉全基が停止しているものの、関連企業を含めて6000人以上の従業員が勤務を続けている。原子炉に最も近い場所にある中央制御室では、現在も18人一組が24時間の交代制で勤務している(図11)。福島第一原発での事故以前は10人一組の体制だったが、増強を図った。原子炉全基が停止していても、維持管理と安全対策のために多くの人的コストが費やされている。
ここまで紹介してきたように、柏崎刈羽原発では「深層防護」と呼ぶ幾重もの「もし」を想定した安全対策がとられている。「前段の対策は失敗する」という前提で、常に後段での対策を用意していくという考え方だ。
柏崎刈羽原発の副所長を務める林勝彦氏は「従来はこれまでに起きたことを踏まえた安全対策だった。しかし福島第一原発での事故を経て、現在では『どんなことが起こるかわからない』ということを前提に安全対策を進めている。そしてもちろん現在の対策が最終形だとは考えておらず、今後も強化を続けていく」と述べる。
一方で、多重の安全対策を施しても、福島第一原発の事故で、原子力発電事業の不確実性が露呈したのも事実だ。主力発電所である柏崎刈羽の再稼働は東京電力にとっては大きな収益となるが、現時点で地元新潟県の同意を得られる見込みは小さい。安全審査を終えても困難な道が待っているのは確かだろう。
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