1本勝負だった関西電力が路線変更、「家族」を意識した料金プランを用意:電気料金の新プラン検証シリーズ(34)(2/2 ページ)
2016年4月の電力小売全面自由化以降、電力小売りにおいて各社がさまざまな販売戦略を進めてきたが、4月以降の反応を経て路線変更の動きも出始めている。関西電力では従来の1本化した料金プランに加えて、電力使用料金の多い世帯向けの新たな料金プランを発表した。
300kWh周辺がお得なゾーン
新料金プランは、基本料金が最初の6kW(キロワット)までが1188円、1kW増えるごとに388.8円となる。これに追加される電力量料金は最初の300kWh(キロワット時)までが1kWhにつき22.01円、300kWhを越える1kWhについては32.29円となっている。つまり月の電力使用量が300kWh周辺が最も安くなるというプランということになる。
例えば、これまで従量電灯Aに加入しており、1カ月当たりの電気の使用量が350kWhの世帯が、新たに「eおとくプラン」に加入すると、年間で約3500円(3%削減)電気代を削減できるという。
さらに、期間限定のキャンペーンとして、契約開始後、2017年3月分までの電気料金をさらに1%割引し、10月から契約した場合では年間で約4000円分の電気代削減につながる。加えて、200種類以上のアイテムや他社のポイントと交換できる「はぴeポイント」も、年間約1100円相当たまるため、年間約5100円相当が契約者のメリットになるとしている(図2)。
「eおとくプラン」の契約は、2016年7月28日から受付を開始し、同年10月1日から順次契約開始とする。今後はたまった「はぴeポイント」について、関西電力の電気料金の支払いに利用することなども検討している。さらに、同年8月1日には、2017年4月に迫ったガス小売全面自由化に向けて、ガス小売り登録したことも発表しており、ガスと電気のセットプランなどの導入も計画しているという。
連載:「電気料金の新プラン検証シリーズ」
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