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バイオエタノールで600km走行、日産が新型FCVを初公開:電気自動車(2/2 ページ)
燃料電池車といえば水素を充填して走るというの一般的だが、日産自動車が開発を進めているのは燃料に植物由来のバイオエタノールを利用する燃料電池車だ。同社は独自の燃料電池システム「e-Bio Fuel-Cell」を搭載した試作車を公開した。実用化に向け、バイオエタノールの普及が進んでいるブラジルで走行性能の検証などを進める計画だ。
バイオエタノールは水素より「現実的」か
e-Bio Fuel-Cellは低価格な燃料電池車の実現にも寄与するとしている。SOFCは一般的な燃料電池車に利用されている白金などの高価な触媒を使用しないからだ。
また、サトウキビやトウモロコシなどを原料にしたバイオエタノールは、北南米、アジアなど世界の多くの国で既に実用化されており、現時点では圧縮水素より現実的な燃料と見込む。今回試作車を発表したブラジルでは、ガソリンスタンドで100%エタノールの供給インフラ環境が整っているという。
日産は今後、ブラジルの一般道で試作車を用いてフィールドテストを実施し、技術や車両の市場性などを検証していく。これによりe-Bio Fuel-Cellのさらなる研究開発を進め、2020年をめどにバイオエタノールで走行する商用車タイプの燃料電池車から市場投入していく計画だ。
日産の社長兼CEOのカルロス・ゴーン氏は、「e-Bio Fuel-Cellは、エコフレンドリーな移動手段を提供し、地産エネルギーの機会を創出するだけでなく、既存のインフラの活用を前提としている。エタノール混合水は他の燃料に比べて扱いやすく手に入りやすいもので、かつインフラの制約が少なく、今後、市場が成長する可能性は極めて高い」と述べている。
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