EMS市場は拡大が続く、家庭・産業分野ともに安定成長:IT活用(2/2 ページ)
電力システム改革やIoT技術の進展により、本格的に活用が進みつつあるエネルギーマネジメントシステム(EMS)。関連機器やサービスを含むEMSの市場は、家庭/産業・業務分野のどちらも今後順調な拡大を続ける見込みだ。調査会社の富士経済が今後の市場予測を発表した。
産業分野も安定成長、けん引役はBEMS
産業・業務分野はBEMS(BAベース/BEMS単独システム)、FEMS、REMS、単回路電力モニター、多回路計測ユニット、マルチ指示計器、計測機能付ブレーカー、データ収集サーバー、デマンドコントローラー、業務・産業向け省エネサービスを対象に調査を行った。
2016年の市場規模は前年比104%成長の783億円を見込んだ。今後も安定した市場拡大が続き、2020年には911億円規模に拡大すると予測している。
産業・業務分野の市場拡大をけん引するのは、BEMSという予測だ。特にBAベースのBEMSが大きなウェイトを占めるとしている。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた特需の終わりとともに一時的な伸び悩みが予想されるが、クラウド・ビッグデータ技術の活用により、施設のZEB化や多拠点統合管理、ビル管理の高度化などへの対応に向けたリプレース需要が拡大すると予測している。
また、クラウドをベースとした比較的低コストで導入可能なBASは、中小規模施設で新規導入が増加する可能性もあると指摘。業務・産業向けのサービスは多様な分野の高圧小口需要家まで裾野が広がっており、中小規模事業者の採用増により堅調にすると予測した。今後電力小売事業者が省エネサービスを提案するケースも増加することも予想され、これにより普及ペースが加速する可能性もあると指摘している。
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