「太陽光発電ビジネスは量から質へ」エクソル新社長インタビュー:エネルギー市場最前線(2/2 ページ)
4つの事業を柱に太陽光発電総合企業として成長するエクソル。市場環境が変転する中、今後どのようなビジネス展開を考えているのか。エクソル新社長に就任した鈴木伸一氏に目指す方向性などについて聞いた。
営業力から技術力強化へシフト
スマートジャパン 収益面での見通しについては、どう考えていますか。
鈴木氏 売り上げは新規の受注ベースを見てみると、足元は厳しくなってきている。そうした中で、量的な拡大から質的な面を重視する戦略を進めるなど企業体質の強化に重点を置いている。新規分野に積極的に取り組み、先行者利益を確保するなど構造転換を図っていく。社内組織やスタッフの配置もそれに合わせて動かしているところだ。
スマートジャパン 具体的にはどのような取り組みを進めるつもりですか。
鈴木氏 当社は商社からスタートしたこともあり、これまではどちらかといえば営業部門の人材を増強してきた。それを徐々に開発やメンテナンスやなど技術系スタッフの強化にシフトしている。
組織的には経営企画部と開発技術部の強化に力を注いでいる。企画や戦略を構築する部門の強化が狙いだ。さらにEPCとメンテナンスを担当するSI事業本部の人員を増強した。これに加えてマーケットの構造変化に対応するため、社員の教育内容の中身を変えていく。技術知識だけでなく顧客の継続性や収益性も含めた多岐にわたる総合的な提案力が身につくように取り組む。
一方で、ここ2年ぐらい売り上げの拡大とともに増えた間接業務部門の効率化を進めていく。これにより全体的な社員数はピーク時に比べて減らす計画だ。
スマートジャパン 10年後など、中長期的な戦略として考えていることはありますか。
鈴木氏 今後、太陽光の関連事業が多様化してくることが予想される。当社も発電所の売買などに携わるなど業務内容も広がっている。政府が打ち出す「PV100年構想」なども踏まえて、これから太陽光がエネルギーインフラ産業としてどのようにマーケットが拡張していくかを見極めて、適切に対応していく。
スマートジャパン 新社長として社員に対して期待することはありますか。
鈴木氏 太陽光発電というエネルギーにかかわる仕事は、単に商売というだけではなく、地球規模で社会に貢献できるという仕事だ。そこに誇りと責任感をもっていただきたい。さらに、指示待ちではなく、一人一人が当事者として会社を動かしているのは自分である、ことを考えて全体的、大局的なビジョンを持って行動してほしいと考えている。
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