災害時にソーラーカーポートを避難所に、企業と自治体が提携:太陽光
屋外駐車場の屋根に太陽光パネルを設置する「ソーラーカーポート」の設置事例が増えている。アルミ製品製造のSUSは静岡県菊川市と協定を結び、同社の静岡事業所内に設置したソーラーカーポートを災害時の避難所として活用する。
アルミ製品製造のSUSは2016年8月18日、静岡県菊川市と「災害時における避難所等施設利用に関する協定」を締結した。同社の静岡事業所(静岡県菊川市)の敷地内に完成したソーラーカーポートなどを、災害時に避難所や復興支援ボランティアの活動拠点などとして菊川市に提供する(図1)。
静岡事業所に導入したソーラーカーポートはSUSが開発したもので、太陽光パネルを搭載した屋根とそれを支える架台で構成している。駐車場の屋根として機能するだけでなく太陽光パネルをつかって発電ができ、災害などの非常時には、テントシートや床材、避難グッズを用いて避難施設として利用できるのを特徴としている。
災害時を想定した被災避難場所の設置には、設置速度や広さ、プライバシー、コストなどが課題となる場合が多い。SUSの開発したソーラーカーポートは、テント生地および床材を使用することで、プライバシーを守りつつ、手足を伸ばして過ごすせるスペースを確保できる「個室型」の施設を短時間で設置できるという。オプション機器を接続することで、屋根の太陽光パネルで発電した電力を非常用電源として利用することも可能だ(図2)。
静岡事業所のソーラーカーポートには、防災倉庫も併設している。この中にはテントハウス用の各種備品の他、テント式トイレ、簡易ベッド、キャンプ用テーブル・折り畳みイス、 エンジン式発電機、、避難用飲料水・食料一式を収納している。
このソーラーカーポートは今回の菊川市との協定の締結により、災害で周辺市民の住家が被害を受けた場合や、公共交通機関の被災などにより帰宅困難者が発生した場合、または同市の災害復興を支援するボランティアの受け入れを行う場合など、被害状況や復旧状況に応じて菊川市主導で活用していく。
SUSではソーラーカーポートの用途として、発電した電力の売電や自家消費といった一般的な用途のみならず、災害時利用や地方自治体との協力によるCSR活動としての活用を、全国の商業施設に対して提案していく方針だ。
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