国内初のリチウムイオン電池フォークリフト、鉛電池に比べ充電時間8分の1:電気自動車
豊田自動織機とトヨタL&Fカンパニーは、日本初となるリチウムイオン電池搭載の電動フォークリフトを発売する。積載量は1.35〜1.8トン。
豊田自動織機とトヨタL&Fカンパニーは2016年8月24日、リチウムイオン電池を全面採用した電動フォークリストを2016年9月から発売することを発表した(図1)。
国内のフォークリフト市場は、環境意識の高まりなどから電動化が加速しており1990年に28%だったのが2015年に55%と伸長している。一方で従来搭載されている電池は、鉛電池が中心となっていたが「充電時間が長い」や「バッテリー管理に手間がかかる」などの課題が残されている。
今回、豊田自動織機では、こうした鉛電池の課題を解消するために、新たにオプションとしてリチウムイオン電池搭載のモデルを発売することを決めた。
新製品は、1.35〜1.8トンの積載能力で、リーチタイプ電動フォークリフト「GENEO-R(ジェネオR)」のオプション車である。リチウムイオン電池を全面採用したフォークリフトは日本初となるという。
従来の鉛電池では充電に約8時間が必要だったが、リチウム電池搭載オプション車では高効率な別置き急速充電器の採用により、約1時間に短縮できる。これにより、昼夜勤などで鉛電池を2個保有して交換しながら使用していたユーザーでも、リチウムイオン電池1個で足りるようになる。
さらに、重量物である鉛電池の交換作業が廃止されることで作業者の負担を軽減できる他、鉛バッテリーで必要な精製水の補水作業や清掃といったバッテリー管理が不要となる。また、リチウムイオン電池と急速充電器の効率化により鉛電池に比べ電気代を約20%低減できるという。
豊田自動織機では、2016年秋をめどに燃料電池フォークリフトの販売なども行うとしており、環境対応フォークリフトのラインアップを拡充していく方針だ(関連記事)。
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