自由化で加熱するサービス競争、東京ガスはベンチャーと協業へ:電力供給サービス
既に始まった電力の小売全面自由化、そしてこれから始まるガス自由化に向けて、顧客獲得に向けた各社のサービス開発競争が加速している。電力小売事業で好調な東京ガスは、ベンチャー企業と組んで新サービスの開発を目指す。オープンイノベーション支援事業を手掛けるCrewwと共同で、企業アクセラレータープログラム「Tokyo Gas Accelerator 2016」を開始した。
東京ガスは企業のオープンイノベーション支援事業を手掛けるCrewwと共同で、新規事業創出を目的とした企業アクセラレータープログラム「Tokyo Gas Accelerator 2016」を開始すると発表した。
同プログラムは東京ガスの持つ「リソース」と、ベンチャー企業の持つアイデアや、サービス、製品などを掛け合わせて新規事業の創出を目指すプロジェクト。テーマは「1000万世帯の家庭にもっと価値ある『暮らし』を。」としており、東京ガスは同プログラムを通じて自社の顧客に提供する新しいサービスを生み出したい考えだ(図1)。
ベンチャー企業は「基本的に『生活』に関わるすべての領域」(東京ガス)で募集する。具体的にはファミリー(ファミリー向けの衣・食・住に関わるサービス)、ヘルスケア(健康の維持・増進や管理に関わるサービス)、シェアリングエコノミー(個人が持つ部屋や車など資産の共有に関わるサービス)、エンターテイメント、AI(人工知能)やIoT(Internet of Things)、ビッグデータ解析(ビッグデータ解析を活用したサービス)などの事業領域を挙げている。
東京ガスが同プログラムに参加するベンチャー企業に対して提供する「リソース」とは以下の通り。
- ガス・電気を供給している約1000万世帯へのアプローチ
- 1都3県124カ所にある代理店「東京ガスライフバル」の場所
- 顧客と定期的に接点を持つライフバル1万人の人的リソース
- 過去から蓄積している生活に関するエネルギーデータ
- 給湯器、コンロ、床暖房、エネファーム、警報器などとの連携
- 料理教室やショールーム、各種イベントを通じた「場の提供」
なお、同プログラムの枠組みを提供するcrewwは、東京ガスとスタートアップ企業の仲介から新規事業提案などをサポートする。参加するベンチャー企業の募集は2016年9月9日まで受け付ける。
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