電力会社が小売全面自由化で攻勢かける、新電力より単価を安く:動き出す電力システム改革(67)(2/2 ページ)
小売全面自由化を機に、新電力よりも電力会社のほうが契約変更を積極的に進めている。5月末の時点で電力会社と新電力を合わせた契約変更件数は全体の5%を超えて、そのうち半数以上は電力会社の認可料金から自由料金へ切り替えたケースだ。販売単価も新電力と比べて5円以上も安い。
規制料金の高い関西の競争が激しい
電力会社と新電力の両方を含めて自由化後に契約が切り替わった割合(使用量ベース)を地域別に見ると、中部電力の管内が最も高くて9.3%に達している(図4)。そのうち新電力のシェアは3%に過ぎず、中部電力が自由化後に販売したプランに切り替えた需要家が圧倒的に多い。
逆に新電力のシェアが高いのは北海道(95%)、北陸(83%)、関西(61%)の順で、東京は41%だ。電力会社が自由化後の料金プランを積極的に販売していない地域ほど新電力のシェアが高くなる傾向にある。
加えて電力会社間の競争も始まった。以前から自由化が進んでいる企業や自治体が利用する特別高圧・高圧の分野を含めて、電力会社が他の区域で販売する電力量は6月の実績で2.3億kWhだった(図5)。
まだ全体の1%にも遠く及ばない少ない規模だが、その中では関西の販売量が目立って多い。特に低圧の分野で他の電力会社が販売量を伸ばしている。関西電力の電気料金が割高なために、他の電力会社は新電力と価格競争を展開しながら需要家を獲得しやすい状況にある。
すでに自由化から10年以上を経過した特別高圧・高圧の分野では、新電力のシェアが10%を超える地域が増えてきた。東京と関西では2016年5月の時点で14%に達して、特に直近の2年間で急速に伸びている(図6)。北海道でも12%になり、全国平均では9%を突破した。2016年度中には全国平均で10%を超える可能性が大きく、ようやく市場構造が変わってきた。
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