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エネルギー関連の概算要求は9140億円、省エネの加速や再エネ・水素の普及に:法制度・規制(3/3 ページ)
経済産業省は2017年度のエネルギー関連予算の概算要求をまとめた。総額は9140億円で、2016年度の予算と比べて9%増やした。工場や住宅などの省エネ投資を促進する補助金に1140億円を割り当てたほか、再生可能エネルギーや水素・燃料電池の普及事業に1336億円を投入する方針だ。
メタンハイドレートやCO2貯留にも注力
省エネ・再エネ以外の分野では、エネルギー資源の確保と低炭素化をテーマに「エネルギーセキュリティの強化」に1912億円の予算を要求した。石油・石炭・天然ガスといった化石燃料の確保が狙いで、国産の石油・天然ガスの開発とメタンハイドレートの調査・研究が含まれている(図6)。2017年度から新たに271億円の予算を確保して国内の資源開発を推進する。
低炭素化に関しては、火力発電の高効率化と二酸化炭素(CO2)の回収・貯留(CCS:Carbon dioxide Capture & Storage)に焦点を絞って技術開発を進めていく。火力発電の高効率化は広島県で実施中の石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC:Integrated coal Gasification Fuel Cell combined cycle)に重点的に取り組む方針だ(図7)。概算要求で137億円の予算を見込んでいる。
火力発電の最大の課題はCO2排出量を削減する点にある。北海道の苫小牧市で計画中のCCSの実証試験に89億円を投入する。2017年度は近隣の製油所で発生する排ガスからCO2を分離・回収して、地中へ貯留する試験を実施する予定だ(図8)。合わせて日本の近海で貯留の適地を調査する事業に12億5000万円の予算を配分する。
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