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バイオマス発電所のトラブルを未然に防ぐ、設備保全管理システムが3カ所で稼働:IT活用
大分県と福島県で運転中のバイオマス発電所では発電設備の保全業務をネットワーク型のITシステムで管理している。設備台帳や点検結果などの情報をもとに、トラブルを未然に防ぐための保全計画を策定できる点が特徴だ。遠く離れた3カ所のバイオマス発電所を同じシステムで管理する。
大分県の森林が広がる内陸部の豊後大野市で大規模なバイオマス発電所が8月に運転を開始した。省エネサービスと木質バイオマス発電を手がけるファーストエスコのグループ会社が建設・運営する「豊後大野発電所」で、発電能力は18MW(メガワット)に達する(図1)。年間の発電量は1億2000万kWh(キロワット時)にのぼり、一般家庭(年間3600kWh)の3万3000世帯分に匹敵する電力を供給できる。
バイオマス発電所は1日24時間の連続運転で年間に330日以上も稼働する。発電所の設備全体をネットワーク型のIT(情報技術)システムで管理してトラブルを未然に防ぐ体制を構築した。導入したシステムは横河ソリューションサービスが提供する「eServ(イーサーブ)」で、ファーストエスコグループが運営する3カ所の木質バイオマス発電所すべてを同じシステムで管理している。
eServは顧客管理システムなどの用途で全世界で使われているセールスフォース・ドットコムのクラウドサービスをベースに設備保全の機能を搭載した。機器台帳や保全計画・履歴のほか、点検結果や予備品の在庫情報まで管理して、発電設備の安定稼働に必要な情報分析と計画立案をサポートする(図3)。
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