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ワイヤレス充電で走るEVバス、課題の「妨害電波」の抑制に成功:電気自動車(2/2 ページ)
東芝は早稲田大学と共同で、ワイヤレス充電システムを搭載したEVバスの実用化に向け実証走行を進めている。有線が不要であり、利便性の向上が期待されるワイヤレス充電システム。しかしその実用化に向けては無線通信を妨害する不要な電磁波を、電波法が定める許容値内まで抑制する必要があった。東芝はこのほどその抑制技術の開発に成功し、実証走行中のEVバスに導入した。
送電量を損なわずに法基準をクリア
こうした電磁波の課題を解決するため、東芝はワイヤレス急速充電システムにおいて、送受電パッドを22kWの2系統の装置に分け、2カ所から逆相で送電する方法を採用した。送受電パッドを2つに分けることで、それぞれが放射する電磁波が打ち消し合い、不要な電磁波を抑制するという仕組みだ(図3)。
ただし、2系統のパッド間で干渉結合があると、放射される電磁波の大きさと位相がずれ、打ち消し効果が低減してしまう。これを防ぐため東芝は2系統のパッド間の干渉が小さくなる最適な位置関係を検証。2系統のパッドの相対位置を平行に回転させたとき、パッド間の干渉結合の方向が反転する性質があり、干渉結合の方向が反転するときに干渉結合が必ずゼロになる点に着目した。そして不要結合がゼロになる相対角度を電磁界シミュレーターで割り出し、パッド間で生じる干渉の抑制を実現した。
この技術により、距離が10メートル離れた位置における電磁波の大きさを約10分の1に抑制することに成功。送電量を44kWから損なうことなく、高周波利用設備としての許容値を満たすことが可能となった。
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