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太陽をGPSで追尾、発電量1.6倍のソーラーシステム:太陽光
太陽光発電システムの発電量を高める方法として、太陽の動きに合わせて太陽光パネルが動く追尾式のシステムがある。バイオマス・ジャパンは2016年9月から2軸の太陽光追尾型のソーラーシステムの新製品を販売する。固定式のシステムより最大で1.6倍の発電量が見込めるという。
バイオマス・ジャパンは2016年9月から太陽光追尾型のソーラーシステム「BJエルソル」を販売する。太陽の動きを太陽光パネルが追尾することで、発電量を増やせるのが特徴の製品だ(図1)。
BJエルソルは2軸の追尾式架台を採用している。これにより太陽光パネルが太陽光に対して常に垂直(90度)に入射するように自動で動く。一般的な固定式の架台を利用するシステムと比較すると、季節や時刻による電力の発電量のばらつきが少なくなるため、常に最大の発電量を維持しやすくなる。太陽の位置はGPSのデータを利用して割り出している。
同社の試算ではこの追尾システムにより、発電量を1.6倍に増やせる。また、固定式の架台では、取りこぼしのあった早朝や夕方でも発電できるようになり、1日に最大で9時間の発電が可能だという(図2)。
台風や積雪などが多い地域への設置にも対応できるよう、複数のセンサーも備える。例えば一定以上の風速を検知した場合は太陽光パネルを水平にして風圧を逃したり、降雪時には角度を付けて積雪を防いだりできる。
架台は日本製で、使用している鋼材はすべて溶融亜鉛メッキ加工を施した。なお、標準パッケージの太陽光パネルは、三菱電機製の出力270W(ワット)のモデルを搭載し、積雪量があり反射光の活用が期待できる地域向けには、両面発電パネルを用意する。
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