孫氏が苦言「電力はなぜつながらない」、自然エネルギーの国際連携:自然エネルギー(2/2 ページ)
自然エネルギー財団は設立5周年記念シンポジウムをこのほど東京都内で開催した。同財団は東日本大震災後、ソフトバンクグループ代表の孫正義氏が自然エネルギーを基盤とする社会の構築などを目的に設立。現在、シンポジウム、ワークショップなどを通じて自然エネルギー普及のための調査研究、提言、政策作りなどの活動に取り組んでいる。
北東アジアを結ぶGridを「ゴールデンリング」
孫氏と中国国家電網の劉氏は「国々はお互いにつながりあうことが必要だ」というビジョンで意気投合したという。さらに、モンゴルから日本まで送電するにはその他の国の協力も必要となることから、ロシア(ロシアグリッド)、韓国(韓国電力公社)へも声掛けして、4社は2016年3月に事業開始に向けての調査を開始するMOUを締結した。孫氏はこの北東アジアを結ぶGridを「ゴールデンリング」と名付けている(図4)。
この4か国を合わせるとアジア全体の発電量の76%、電力消費の77%を占めているからで、「これをつなげることは世界の希望となる」(孫氏)とこの送電ルートを位置付けている。採算面でもロシアルート、中国〜韓国ルートともに試算によると日本での石炭での火力発電よりも低コストになる可能性がみえてきており、孫氏は「これはいけるのではないか」と現実味が帯びてきていることに自信をみせた。(図5)
孫氏は最後に「2020年の東京オリンピックのころには、聖火ランナーのようにこのゴールデンリングがつながれば」と述べ、あいさつを締めくくった。
また、孫氏は「自然エネルギー拡大を加速し、世界の送電網に大量導入するために」をテーマとしたディスカッションにも参加し、「情報や通信という業界では、既に世界がつながっているが、電力はなぜつながらないのか」という疑問を投げかけた。さらに、「Asia Super Grid」ビジョンの政治的な問題の解決に向けて「日本の政治家にもバランスの取れた人がいる。多くの問題は常にあるが、どの段階でコミットメントできるか、政治家としてのリーダーシップを発揮してもらえるものと信じている」と期待感を示した。
なお、ディカッションには劉氏、韓国電力公社チョ・ファンイク社長、OJSC ROSSETI社オレグ・ブダルギン社長(ロシア)、ロッキー・マウンテン研究所エイモリー・B・ロビンス名誉会長が参加した。
関連記事
- あなたの街にもメガソーラー、うまく立ち上げるには
太陽電池を大量に集積したメガソーラーの導入が国内でもようやく進み始めた。しかし、住宅や公共機関など屋根上への設置と比べて、規模や設備の性格が大きく異なる。地方自治体が導入を検討する際の資料が欲しい。メガソーラー2拠点の実証実験の結果から、NEDOが導入検討に役立つ手引き書を作り上げた。 - 電力と通信で年間8万円割引、ソフトバンクが電力市場で目指すもの
東京電力との提携で2016年4月から電力小売市場に参入するソフトバンクは、料金プランを発表した。基本的には東京電力の新料金プランを踏襲しているが、独自のセット割引「おうち割」を最大の特徴として打ち出す。 - モンゴルで再生可能エネルギーを10GW開拓へ、ソフトバンクなど3社
ソフトバンクグループら3社は、モンゴル国内における自然エネルギープロジェクトの開発を投資を目的とした覚書を締結した。 - 再生可能エネルギー57%の電力を家庭に、ソフトバンクの「FITでんき」
既に2016年4月からの電力小売全面自由化に向けた電気料金プランを発表しているソフトバンク。新たに再生可能エネルギーの固定買取価格制度を活用する「FITでんきプラン」を発表した。子会社のSBエナジーが所有する太陽光発電設備などから電力調達を行い、再生可能エネルギー比率約6割の電力を提供していく計画だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.