頓挫しかけたメガソーラー、プロジェクトファイナンスと協業で商業運転開始:太陽光
自然電力は、富士製作所と協業し着工した「大沼太陽光発電所」を、2016年7月に完工し、商業運転を開始した。同プロジェクトは富士製作所が計画を進めていたものに対し、自然電力による資金調達支援によりプロジェクトファイナンスによる調達を実現し、事業化へとつながったものだ。
今回商業運転を開始した「大沼太陽光発電所」(北海道七飯町)は、休地約3万6000平方メートルを利用して、出力約1.8メガワット(DC)のメガソーラーである。年間発電量は一般家庭約600世帯の年間使用電力量に相当する約191万キロワット時を見込む。発電した電力は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度を活用し北海道電力へ売電する(図1)。
同発電所は富士製作所が当地で計画を進めていたものに対し、自然電力による資金調達支援によりプロジェクトファイナンスによる調達を実現、事業化へとつながったプロジェクトである。事業主は大沼太陽光発電合同会社で、EPC(設計・調達・建設)は、当初の計画通り、北弘電社(札幌市)が担当した。発電所のO&M(運営・保守)は、自然電力グループのjuwi(ユーイ)自然電力オペレーション(東京都文京区)が提供している。
自然電力は、2011年の会社設立以来、グループ全体で約700メガワット(2016年7月末時点)の太陽光発電所の開発・資金調達・EPC・O&Mに携わってきた。また、発電事業者として、同発電所も含め全国で16件の太陽光発電所を保有・運営。2015年からは風力・小水力発電事業も積極的に推進している。今回の大沼太陽光発電所は、自然電力グループが完工したメガソーラー事業として北海道内で初の案件となるという。
北海道では、既に多くの再生可能エネルギー発電所の設置または設置検討がされ、接続系統容量に空きが少なく、再生可能エネルギー発電所の新規設置は難しい状況が続いているという。そうした状況の中でも同社は開発・資金調達・建設など、何らかの課題により実現に至っていないプロジェクトも少なくないと予想。発電所設置に必要なサービスを幅広く提供している特徴を生かして、各案件のさまざまなニーズに対応している。その一環として地域の企業との協業も含めて、これら未稼働案件の事業化にも取り組む方針だ。
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