LED電球で高齢者を見守る、IoTを活用した新サービス:LED照明
IoT関連機器開発のペイイーストはこのほど、LED電球を使って行う、高齢者向けの見守りサービスの販売を開始した。
総務省が「敬老の日(9月19日)」に当たって2016年9月18日に発表した高齢者の統計では、日本における高齢者人口は3461万人で総人口に占める割合は27.3%と、ともに過去最高に達したと推計されている。これは2015年(3388万人、26.7%)と比較しても人口で73万人、比率で0.6%と大きく増加しており、日本における高齢化は加速しているといえる。これらの中で課題となっているのが、これらの高齢者の「見守り」である。
こうした課題を解決するためにIoT関連機器開発のペイイースト(東京都千代田区)が開発し販売を開始したのが、LED電球を使って行う「見守りサービス Miima(ミーマ)」である。ミーマはIoTを活用した孤独死対策、高齢者の見守りサービスだ。「電球を点灯させる=人間が行う動作」との観点から生存の確認および見守りを行う。
同サービスはLED電球からの点灯状況をWi-Fiおよび3G通信などを通じて同社サーバで24時間監視する。一定期間の点灯が確認出来ない、または長時間点灯しているなどの電球の点灯状況(点灯した時、連続点灯)を把握して見守り先の異変を確認する。把握したデータを状況に併せて親族や保護者、事業者のスマートフォンやPCにメールで自動通知する。例えば、トイレに電球を設置した場合は、24時間トイレの電球の点灯が無かったり、長時間点灯が続いていたりする場合、管理者にメールで知らせる。また、事業者向け(大家、介護事業者、自治体)には複数の見守り先を一括で管理する事が可能。各種施設やアパートなどでの事故物件対策、孤独死対策としても利用できる(図1)。
システムとしては、電球にWi-Fiモジュールなど見守りに必要なセンサーを組み込んでおり、別途中継器などは必要がない。電球は電球ソケット口(口金E26)に取り付けて通常の電球として使用できる。見守り装置を壁やドア、机の上に設置したり電源を取り回ししたりすることもないことから、高齢者への負担(監視されていると感じる不安)を軽減する(図2)。
価格は電球および初期費用が9800円(税別)と月額費用420円(税別)。なお、見守り先にWi-Fi環境(インターネット環境)がない場合は同社がWi-FiルーターおよびデータSIM(SORACOM)を用意している。SORACOMを使用時には通信費として月額300円(税別)が別途必要だ。また、利用者がデータSIMを用意しての利用も可能。個人に限りSo-net提供の「0 SIM」を利用すれば毎月の通信費は0円となる。電球および管理画面の設定はPC、スマートフォン、タブレットなどで行う。アプリのダウンロードなどは必要ない。この他、電球は好きな色に変更する事が可能だ。
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