検針員の作業負担を軽減、関西電力が検針業務用端末のデータ管理基盤導入:電力供給サービス
日立ソリューションズは、日立製作所と共同で組み込みデータベースを、関西電力に導入したと発表した。2016年1月にリプレースされた約4500台の検針業務用ハンディターミナルのデータ管理に使用され、既に稼働し検針員の作業負担軽減に貢献しているという。
関西電力が新たに導入したのは、検針業務用ハンディターミナルのデータ管理に利用する組み込みデータベースである。日立ソリューションズの組み込みデータベース「Entier(エンティア)」を、日立製作所と日立ソリューションズが共同で導入した。
エンティアは、カーナビゲーションやデジタル家電、スマートデバイスなどの組み込みシステムに適した、軽量で高速、高機能なリレーショナルデータベース。2016年8月末時点で、カーナビゲーション、TV、電子辞書、アミューズメント機器などの分野で約2000万ライセンスの導入実績がある。
関西電力では当時、一般家庭における電気使用量の検針に利用していた従来のハンディターミナルの製造終了と、2016年4月開始の電力小売全面自由化に伴う低圧託送制度の導入を控えていた。新制度の導入により、一般家庭に設置されているメーターから収集する電気使用量データは、従来と比較し約10倍に増加する。また、へき地など自動検針が困難な箇所では今後も現地検針が必要となる。そのため、「アプリケーション改修によるコスト増加を抑えることと、検針作業時の処理待ち時間をなるべく増やさないようにすることが重要」(関西電力)として、処理性能の高いデータベースソフトの導入を目指した。
そうした背景のもとフリーソフトを含む複数の組み込みデータベースを比較した結果、大量のデータを短時間で処理できる点に加え、少ないメモリ容量で動作する点や、充実したサポート体制が組まれている点などを評価し、エンティアを採用したという(図1)。
同データベースの導入により「低圧託送制度の導入で約10倍に増加した検針データ量に対し、ハンディターミナルの処理性能が向上」「従来の研究ソフトウェアとの互換性維持により、システム全体の開発コストが削減」「エンティアを使用したアプリケーションのレスポンス性能が向上」などの効果が生まれた。これらの効果により、検針員の作業負担が軽減された他、既存ソフトウェアを継続利用することで、システム全体の開発コストの削減を実現しているという。
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