制度と技術を一体導入、アジア地域の省資源化を実現:省エネ機器
NEDOは、アジア地域においてリサイクルなどの資源循環に関する制度や技術の導入を目指した実証事業を開始した。バングラディッシュとミャンマーで実施する。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、アジア地域の省資源化に向けて海外での2テーマにおける実証事業を実施する。同プロジェクトは、省エネルギー型資源循環型経済の実現において、制度と技術を一体として導入する実証事業である。
具体的には、バングラデシュとミャンマーの2カ国において、日本が保有する環境負荷を低減させる政策ツールや技術・システムのノウハウを提供。その有効性を検証することでこれらの地域における省資源・省エネルギー化を推進し適正な資源循環の実現を目指すというものだ。
制度と技術を一体で導入し循環サイクルを作る
2016年度の海外実証は実現可能性の調査が主目的となっている。採択テーマは、1つ目が「バングラディッシュ国ダッカ市における廃電子機器などの適正処理・金属再資源化実証事業」でリーテムが委託を受ける予定。2つ目が「籾殻焼却灰(シリカなど)の資源循環システムの実証事業」で、フジタと三菱総合研究所が委託予定先となっている。
「バングラディッシュ国ダッカ市における廃電子機器などの適正処理・金属再資源化実証事業」は、経済発展が進むダッカ市において、廃電子機器からの鉄と非鉄の分離濃縮技術と廃棄物の適正処理推進制度を導入。日本の自治体と連携し、日本の制度を参考にしながらダッカ市においてモデル工場を構築し、運営の実現性を実証する(図1)。
「籾殻焼却灰(シリカなど)の資源循環システムの実証事業」は、ミャンマーのエーヤワディ管区において、シリカを大量に含む籾殻焼却灰を、沈降シリカ精製技術の活用と品質規格制度の構築により、機能性セメントの混和材や建材原料、タイヤゴムの混和剤などへの震源循環を実現することを目指したもの。焼却灰を活用し、沈降シリカの製造技術によるシリカ原料化技術の確立することで、精製シリカの品質規格を確立しミャンマーでの普及促進を図る(図2)。
日本でも4つの実証を開始
これらの他、国内において高度な資源循環システムに関する4テーマの研究実証事業も実施する。今後の鉱床の低品位化や新興国需要の拡大などによる資源の需給ひっ迫への対応を見据え、動脈産業(製品の設計、製造、販売などを主に行う産業)側と静脈産業(廃棄物の回収、分離選別、資源化、最終処分などを主に行う産業)側が一体となった高度な資源循環システムの構築を目指す。さらにこれらも将来的なアジア地域への展開も視野に入れているという(図3)。
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