電力の契約を変更した89%が満足、3万人を対象にした国の調査で:電力供給サービス(2/2 ページ)
電力・ガス市場の競争状況を監視する国の委員会が全国3万人を対象に、電力の小売自由化に関するアンケート調査を9月上旬に実施した。小売自由化の認知度は90%を超えて、実際に契約を変更した比率も10%近くに達した。契約を変更した人のうち89%は期待以上の満足を感じている。
変更手続きは6割が30分未満で完了
電力の購入先や料金プランを変更した人は、どのような点で満足しているのか。第1の理由は当然ながら電気料金が安くなることだが、第2の理由に「電力供給が安定している(停電などの心配がない)」を挙げている人が3割もいる(図5)。契約を変更しても停電の発生率に差は生じないにもかかわらず、そうした不安を抱いていた人が多くいることも明らかになった。
生活面の変化も見られる。月々の電気料金の変化によって「節電意識が高まった」と回答した人は26.6%、「他のことにお金を使えるようになった」も26.0%を占めている(図6)。さらに「ガスや通信など他の公共料金についても見直しの意識が高まった」人は1割強にのぼる。
契約変更の手続きは簡単に済んだ人が多かった。「とても簡単だった」が42.7%、「やや簡単だった」が39.4%で、8割以上は手続きに支障を感じていない(図7)。小売電気事業者がスイッチング支援システムを使って迅速に手続きを進められることが大きな要因だろう。
契約変更にかかった時間も10分未満が21.5%、10分〜30分未満が38.1%を占めて、全体の約6割が30分未満で手続きを完了している。2時間以上かかっているケースは2.4%で極めて少ない。
まだ契約を変更していない人の理由を見ると、「手続きが面倒くさそうだから」を挙げている人が15.1%もいる(図8)。1番目の理由である「変更することのメリットがよくわからない」や4番目の「電力の安定供給に不安がある」と合わせて、国と小売電気事業者が改善できる余地は大きい。
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