小規模バイオマスでも採算確保、排熱活用とガス化で高効率に:自然エネルギー
洸陽電機が宮崎県串間市で計画しているバイオマス発電事業に対し、グリーンファイナンス推進機構が3億9千万円の出資を行うことが決まった。2000kW未満の小規模プロジェクトだが、排熱を活用した発電や、木質燃料のガス化により高効率かつ安定的な事業運営を目指す。
エネルギー関連事業を展開する洸陽電機(神戸市)は、このほど同社が計画中の木質バイオマス(ガス化)発電事業に、グリーンファイナンス推進機構から、3億9千万円の出資を受けることが決定したと発表した。
このプロジェクトは、洸陽電機が地元企業などと共同により宮崎県串間市で行う、間伐材を中心とした未利用バイオマス資源を活用した小規模(発電規模2000kW未満)な木質バイオマス(ガス化)熱電併給事業。
小規模木質バイオマス発電事業は、5000kW(キロワット)以上の木質バイオマス発電事業に比べて、スケールメリットが働かず十分な収益性が得られないことなどを理由として、全国的な普及が進んでいない状況だ。同プロジェクトでは、発電時の排熱や木材加工時の端材処理により発生する熱をバイナリー発電や燃料となるペレット加工時の乾燥に活用すること、加えて木質燃料をガス化にすることでより高効率かつ安定的な事業を目指す。
同機構の参画がプロジェクトへの金融機関の融資の呼び水となること、同種の小規模木質バイオマス発電事業の促進に貢献すること、また地元企業と連携した建設工事や雇用創出などにより地域活性化効果が見込まれること、二酸化炭素の排出の抑制・削減に寄与すること(事業によるCO2削減効果は年間7478トンを想定)などから、出資が決定された(図1)。
プロジェクトに対し、同機構が3億9千万円、洸陽電機、南国殖産(鹿児島市)、サンシャインブルータワー(宮崎県串間市)、串間森林建設(同)が合計で4億9百万円を出資する。また、融資はシンジケートローンにより19億円を調達予定であり、地域金融機関にも参画を呼び掛ける予定だ。
これらの資金を利用し、洸陽電機が地元業者を活用して発電所を建設し、稼働後は、SPC(特別目的会社)のくしま木質バイオマスが発電設備の運転・管理を担当する。
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