船上で再エネ発電を実現、帆と太陽光パネルを一体化:自然エネルギー
エコマリンパワーは船の帆と太陽光パネルなどを一体化したシステム「EnergySail」に関する特許を取得した。再生可能エネルギーを活用して、船舶の燃費向上やCO2排出の軽減に貢献できる技術だという。2018年から商用生産を開始する計画だ。
船舶用の低燃費低排ガスソリューションの開発を手掛けるエコマリンパワー(EMP、福岡市)はこのほど、硬帆装置「EnergySail」技術のコア要素をカバーする特許を取得したと発表した。この特許取得により技術ライセンスを前進させ、EnergySailとその関連する技術の商用生産を2018年から始めることができるようになった(図1)。
EnergySailはコンピューター制御による自動配置が可能であり、太陽光パネルや風力発電システムなどのさまざまな再生可能エネルギー発電設備を取り付けることができる硬帆装置。船舶の燃費向上や二酸化炭素排出を低減に貢献する。船舶用にデザインされたもので、貨物船やRoRo船(車両甲板を持つ貨物船)から旅客フェリーや沿岸警備船など幅広いタイプの船舶に設置できるという。
今回取得した特許(特許第6020995号)では、EnergySailに組み込まれている格子構造や機能パネル、突風の負荷を減らす装置を含むデザイン要素がカバーされている。これらの要素はセイル型の装置としても適用でき、また風力・太陽光発電システムのプラットフォームとしても使用可能だ。同社の最高技術責任者、アトキンソン・グレッグ氏は「この特許に関する技術は海上輸送に応用され、沿岸やオフショアの再生可能エネルギープロジェクトにも取り込むことも可能だ」と述べている。
EMPによると、すでに船社数社がEnergySailに関心を示しているという。なお、同社は風力と太陽エネルギーの船舶利用に関する別のコンセプトの特許も、日本および米国で取得したとしている。
EMPは、エコシップコンセプトと船舶用再生可能エネルギー推進力システムの設計などの事業を展開。旅客フェリーや調査船、オイルタンカー、貨物船などの船舶用に、再生可能エネルギーを基にした燃料節約と排ガス低減ソリューションの開発に取り組んでいる。
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