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人工光合成の効率を100倍以上に、新しい薄膜形成手法を開発自然エネルギー(2/2 ページ)

太陽光と水とCO2を使い、酸素や水素、有機物などの貯蔵可能なエネルギーを人工的に生成できる技術として注目されている人工光合成。富士通研究所はこの人工光合成において、酸素の発生効率を100倍以上向上させる新しい薄膜形成プロセス技術を開発した。人工光合成の実用化課題である効率の改善に寄与する技術として期待がかかる。

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電子・酸素の発生効率を100倍以上に

 形成された薄膜は、ミクロ・マクロな欠陥がないため結晶性が良く、材料中の粒子間の電子伝達特性に優れた緻密な構造となっている(図2)。これにより太陽光で励起された電子を、効率的に電極に伝えやすくなる。


図2 開発した薄膜形成プロセスのイメージ 出典:富士通研究所

 さらに薄膜の表面構造は材料と水との反応表面積が大きく、材料結晶中の電子密度の高い結晶面が膜表面に規則的に形成されているという特徴がある。その結果、水と光の相互反応を大幅に促進させることが可能になった(図3)。


図3 人工光合成の明反応電極部の材料構造 出典:富士通研究所

 富士通研究所は今回開発した技術を適用することで、光励起材料をそのまま用いる場合と比べて太陽光の中で利用可能な光の量が2倍以上に広がり、さらに、材料と水との反応表面積を50倍以上に拡大することに成功。これにより、電子および酸素の発生効率を100倍以上に向上できることを確認したとしている。

 同社では今後、光励起材料とプロセス技術のさらなる改良を進め、明反応の電極の特性向上を図るとともに、暗反応部(CO2還元反応)、全体システムの技術開発についても取り組み、人工光合成技術の実用化を目指す方針だ。

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