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送電線の火災事故を検証、ケーブルの油圧が事故前に低下電力供給サービス(3/3 ページ)

東京電力の地下送電線で10月12日に発生した火災事故について、内部の委員会が原因と対策を検証した。火災が発生した場所を通るケーブルのうち、1本の油圧が事故前に低下していた。東京電力は事故区間のケーブルを2019年度までに張り替える一方、同じタイプのケーブルすべてに防災対策を施す。

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2002年度から防災対策を進めていた

 東京電力パワーグリッドは火災事故で使えなくなった2系統の送電線をCVケーブルに張り替えることを決めた。変電所から送電線の分岐点まで7.4kmが対象になる(図10)。2系統のうち北武蔵野線の2ラインを2017年6月末をめどにCVケーブルに張り替えた後に、残る城北線を含めて2019年度中に張替工事を完了する方針だ。


図10 ケーブルの張替計画。出典:東京電力パワーグリッド

 並行して洞道の補修工事も実施する。火災によって高温の状態が続いたことから、躯体を調査して耐力を評価する必要がある。そのうえで詳細な補修計画を12月中に策定する予定だ(図11)。年明けから工事に入るが、現時点では工期がどのくらいかかるかは不明である。


図11 洞道の補修計画。出典:東京電力パワーグリッド

 一方で現在も大量に残っているOFケーブルの防災対策を急ぐ。東京電力は14年前の2002年度から主要なケーブルを対象に防災対策を進めてきた。ケーブルの周囲を防災シートでカバーするか、自動消火装置を設置する方法である(図12)。ただし火災が発生した場所では対策を完了していなかったとみられる。この対策は2019年度までに完了する予定だが、事故を起こした洞道を通る送電線に対しては前倒しで実施する。


図12 防災シートの施工イメージ。出典:東京電力パワーグリッド

 東京電力パワーグリッドは12月中に次回の委員会を開いて、残る検討項目の確認と暫定的な防災対策の進捗状況を確認することにしている。利用者にとっては防災対策だけではなくて、古いケーブルの張り替えを急いでもらいたいところだ。1500kmを超えるケーブルの張替は喫緊の課題と言える。

続報:「送電線の火災事故の原因は地絡、ケーブルの接続部分で大電流が発生か」

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