電力データを活用した新サービスを、IoT基盤の構築実証を開始:スマートハウス
東京電力パワーグリッド、日立製作所、パナソニックの3社は、センサーを活用して住宅内の電気の使用状況や温度などの情報を収集し、さらに蓄積・加工できるIoTプラットフォームの構築に向け、共同実証試験を開始する。
東京電力パワーグリッド、日立製作所、パナソニックの3社は、このほど住宅内の電気の使用状況や温度などの情報を収集・蓄積・加工することのできるIoTプラットフォーム構築に関する共同実証試験を開始すると発表した。
実施期間は2016年11月〜2017年3月までの約5カ月で、実証試験の対象となるのは東京都を中心に、埼玉県、神奈川県、千葉県など関東エリアの約100戸の住宅。実証試験では、分電盤周辺等に家電製品の種類ごとの電気使用の変化をリアルタイムに検知するための専用の電力センサーおよび住宅内の温度などを測定する環境センサーを設置しデータを収集。さらに日立製作所の専用システムで取得したデータを蓄積・加工するプラットフォームを構築する。
住宅からはブロードバンド回線を利用してセンターシステムへの効率的な伝送方法を検証する他、電力センサーとブロードバンドルーターなどとの間の通信方式として高速PLC(電力線通信)の適用性を検討するなど、必要な装置やシステム全体の性能・有効性を検証する(図1)。
実証試験は、東京電力パワーグリッドが全体の取りまとめる。さらに専用センサーの開発やデータ処理および取得したデータを広くサービス事業者と共有した上で協業の可能性の検討を行う。日立製作所はデータの蓄積・加工を担うとともに、蓄積・加工するプラットフォームの有効性を検証。パナソニックは主に高速PLCによる住宅内機器間のネットワークの有効性を検証する。
このIoTプラットフォームの構築により、専用の電力センサーなどを備えていない住宅であっても、家電製品の種類ごとの電気使用の変化を見える化することで電気の消し忘れや使い過ぎなどに気づくことが可能となる。さらに、電気の使用状況や温度などの情報を活用したサービスの検討も進める予定で、例えば、それらの情報から在宅状況を推定することにより、見守りや安否確認などのセキュリティーサービスの充実など、客のライフスタイルに応じた商品・サービス向上に寄与することを目指す。将来的には、セキュリティー対策を万全にした上で、こうしたサービスを行う事業者と協力する計画だ。
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