新電力のシェアが企業向けで10%突破、家庭向けも1.7%に拡大:電力供給サービス
電力の販売量が増える7月に、新電力のシェアが大幅に伸びた。以前から自由化が進んでいた企業・自治体向けの高圧分野で初めて10%を突破して、新たに自由化が始まった家庭・商店向けの低圧分野でも4カ月目で1.7%に拡大した。東京と関西の2地域では高圧と低圧の合計でも10%を超えている。
2000年3月に電力小売の自由化が始まり、新電力(電力会社を除く小売電気事業者)のシェアが10%を超えることが第1の節目と考えられてきた。ようやく自由化から16年が経過して10%を上回る状況になった(図1)。
2016年7月の全国の販売電力量のうち、企業や自治体が利用する特別高圧・高圧の分野で新電力のシェアが10.9%に達した。4月の時点では8.3%だったことから、わずか3カ月で2.6ポイントも上昇したことになる。
家庭や商店が利用する低圧の自由化が4月に始まり、新規参入する事業者が大幅に増えて企業・自治体向けの販売量も拡大した(図2)。一方で自由化から4カ月目に入った低圧のシェアは1.7%になって、これも着実に上昇している。同様のペースで伸びていけば、2年目に入る2017年度の早い時期に5%を超える見通しだ。
地域別の状況を見ると、市場規模が最大の東京では特別高圧・高圧と低圧を合わせて新電力のシェアは11.6%まで伸びた(図3)。特別高圧・高圧では15.6%に、低圧では早くも3.3%に増えている。2番目に市場が大きい関西では合計で12.1%になり、特別高圧・高圧のシェアは16.8%に拡大した。この2地域で新電力のシェアが10%を超えている。
他の地域では北海道が9.7%と高いことを除くと、新電力のシェアは伸び悩んでいる。九州が6.1%で、残る6地域は5%未満だ。最も低い北陸ではわずか0.4%のシェアしかなく、自由化の効果が見られない。地域による差が広がっている。
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