燃料電池のコストを削減する新装置、ロールで電解質膜を連続生産:蓄電・発電機器
SCREENホールディングスはNEDOプロジェクトの一環として、固体高分子形燃料電池の電解質膜に、電極触媒を直接塗工・乾燥させる技術の開発に成功。この技術を適用した製造装置も開発した。触媒層付き電解質膜の連続生産が可能になり、燃料電池の製造時間の短縮と生産コスト低減が期待できるという。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とSCREENホールディングスは2016年11月17日、固体高分子形燃料電池の電解質膜に電極触媒を直接塗工・乾燥させる技術の開発に成功し、この技術を活用した燃料電池製造装置「RTシリーズ」を開発したと発表した。触媒層付き電解質膜の連続生産が可能になり、燃料電池の製造時間の短縮と生産コスト低減が期待できるという(図1)。既に重点顧客への納入も開始した。
NEDOは燃料電池の普及促進・市場拡大を図るために、生産技術、高付加価値化技術、安全技術などの実用化技術開発プロジェクトを推進している。その中でSCREENホールディングスは、2013年から燃料電池の量産製造技術開発に取り組んでいる。
今回同社はNEDOプロジェクトの成果とディスプレイ製造装置で培った塗布・乾燥技術とノウハウを生かし、これまで実現が困難とされていた家庭用燃料電池(エネファーム)や燃料電池自動車に採用されている固体高分子形燃料電池の電解質膜に電極触媒を直接塗工・乾燥する技術開発に成功した。
同技術を搭載した燃料電池製造装置のRTシリーズは、燃料電池に用いられる触媒層付き電解質膜を「ロールtoロール方式」で連続生産できる。これはロール状に巻いた材料に加工を施し、再びロールに巻き取っていく生産方法。電子デバイスを効率良く量産する手法として利用されている。
ロールtoロール方式を電解質膜に適用可能にしたことで、製造時間の短縮と生産コスト低減への貢献が期待できる。さらに電極寸法、欠陥、膜厚などの検査装置を組み込むことによって、品質管理も同時に行える仕様になっているという。なお、このRTシリーズはSCREENホールディングスの子会社であるSCREENファインテックソリューションズが製造・販売を行う。
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