CO2を排出しない生活は可能か、既存住宅で実証開始:スマートハウス(2/2 ページ)
大阪ガスと積水ハウスは既存住宅をリノベーションし、CO2排出量ゼロとゼロエネルギーの達成を目指す実証実験に着手する。実際に人が居住しながら約2年半に渡って行う実証で、太陽光発電システムや燃料電池、空調制御を活用し、省エネと快適性の両立が可能化どうかを検証していく。
燃料電池を常にフル回転
一般的に住宅を改修し、快適性を向上させると、エネルギー消費量は増える傾向にあるという。今回の実証では燃料電池と太陽光発電システムなどを活用することで、快適性も維持しながらゼロエネルギーを目指す。
燃料電池は定格出力700W(ワット)の固体酸化物形(SOFC)を設置。今回の実証ではその運転方法を工夫する。家庭の使用電力量に合わせて運転するのではなく、常時定格出力で運転を行う。これにより最も良い発電効率を維持し、生み出す電気と熱を増加させる(図2)。
燃料電池が生み出す電力と熱が余剰になった場合はどうするのか。まず熱については、空調と給湯に活用していく。床暖房にも利用し、室内の垂直温度差を低減することで室内空間の快適性を高める。
一方の余剰電力については、太陽光発電システムの電力とともに逆潮流する。なお現在のFIT法では、調達対象となる太陽光発電などの電源と、燃料電池などの調達対象外の電源を同時逆潮流させることは認められていない。そこで今回の実証においては、太陽電池の逆潮流は非FIT電源として扱う(図3)。
冬季や夏季など、季節ごとの生活スタイルに合わせ各居住スペースに対して個別空調を行うことで、省エネを図りながらでヒートショックなどによる健康被害の抑制も目指す。スマートフォンなどの通信機器を活用し、空調を行う部屋を判断していく仕組みだ。また中間期には、センサーで取得した気温や湿度、風速などの情報をもとに外部環境に応じてシャッター、サッシなどを最適に制御する。これにより日射や通風で快適に過ごせるようにし、省エネを図る。
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