自己託送で4工場の電力利用を最適化、年間16%の省エネ:電力供給サービス
日立製作所、日立キャピタル、日本キャンパックの3社は自己託送制度を活用したESCO事業を開始する。日立製作所が導入するガスコージェネレーション設備で発電した電力を活用しながら、合計4つの工場のエネルギー消費量をEMSで管理していく。これにより省エネを図り、4工場の合計で年間16%のエネルギーコスト削減を図る。
日立製作所、日立キャピタル、日本キャンパックの3社は2016年11月28日、自己託送制度を活用して複数拠点のエネルギーを統合管理する契約を2016年3月に締結したと発表した。ESCO事業として、日立製作所が導入するコージェネレーション設備とEMSを活用し、日本キャンパックの4工場のエネルギーを統合管理して省エネを図る。事業は2017年6月から開始し、4工場の合計で年間消費エネルギー量を16%、CO2排出量を16%削減できる見込みだという。
自己託送制度は、電力の供給元となる工場が広域的運営推進機関に日々提出する発電計画をもとに、工場の自家発電設備で発電した電力を一般送配電事業者が管理する系統網を介して自社の他工場などに託送できる制度。日立製作所が電力源となるコージェネレーション設備を導入するのは、日本キャンパックの「群馬第1工場」(群馬県邑楽郡)だ。この発電設備の電力を自己託送制度を活用して同社の赤城工場(同前橋市)に融通し、さらに日本キャンパックの群馬第1、群馬第2(群馬県邑楽郡)、利根川(同)を含め4つの工場におけるエネルギー利用の全体最適化を図る(図1)。
日本キャンパックでは、2004年に5000kW(キロワット)のガスタービンコージェネレーション設備を利根川工場に導入し、同じく日立製作所とESCO事業を開始。これを皮切りに工場単位でESCO事業を活用したエネルギーの最適化と省エネに取り組んでいる。しかし、各工場で生産される製品の品目や生産量の変動により、電力や蒸気の使用量が変化し、各工場のエネルギー需給が不安定であることが課題になっていた。
今回はEMSとして日立製作所が開発・提供している統合エネルギー・設備マネジメントサービス「EMilia」を活用し、離れた場所にある複数拠点のエネルギーを一括管理・制御し、省エネを図る。日立製作所はこうした省エネによるメリットの一部を対価として受け取る仕組みだ。なお、日立キャピタルは新設するコージェネレーション設備資産を保有し、金融面で事業をサポートする役割を担う。日本キャンパックは資金リスクを負わないかたちで、初期投資負担を抑えながら自社工場の省エネを推進できる。
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