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買取制度に2つの新区分、中小水力とバイオマス発電で自然エネルギー(2/2 ページ)

2017年度から中小水力発電とバイオマス発電に新たな区分が加わる。中小水力では出力5000kW以上、バイオマスでは一般木質を燃料に利用する出力2万kW以上を切り分けて、それぞれ従来よりも買取価格を引き下げる方針だ。太陽光発電と風力発電に続いて買取価格の低減が進んでいく。

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一般木質バイオマスの認定量が急増

 バイオマス発電では5種類の区分のうち3種類が木質である。間伐材を中心とする未利用木質、製材端材などの一般木質、さらに建築廃材が対象になる。それぞれの認定・導入量を見ると、一般木質の認定量が際立って多い(図5)。政府が2030年のエネルギーミックス(電源構成)の想定量に掲げた水準に早くも達している。


図5 木質バイオマス発電の認定・導入量(上)、出力別の認定件数(下)。ミックス想定量は2030年のエネルギーミックス。出典:資源エネルギー庁

 特に一般木質では出力が2万kW以上の大規模な発電設備の認定量が急速に増えてきた。現行の固定価格買取制度では、未利用木質に対して出力2000kW未満と以上で買取価格を分けている。2017年度から一般木質に対しても、出力2万kW未満と以上で買取価格を分ける方針だ。

 ただし発電設備の導入にかかる資本費や年間の運転維持費は、現行の買取価格を決定した時の想定からさほど変動していない(図6)。木質バイオマス発電では燃料費の水準も買取価格に影響を与えるが、現在のところ想定値から大きくはずれていない状況だ。


図6 木質バイオマス発電の資本費(上)、運転維持費(下)。出典:資源エネルギー庁

 ところが出力の規模によってボイラーの種類が異なり、設備利用率に大きな差が出る。電力中央研究所の調査によると、出力が1万kW以上の大規模なバイオマス発電設備ではCFB(循環流動層)タイプのボイラーが主流で、発電効率(熱エネルギーを電気エネルギーに変換できる割合)が30%を超える(図7)。


図7 バイオマス発電の出力と発電効率。FBC:流動層燃焼、CFB:循環流動層。出典:電力中央研究所

 発電効率は買取価格を決定する要因の設備利用率に直結する。現行の買取価格は出力5700kWの設備を基準に、発電効率を26%と想定している。資源エネルギー庁が出力2万kW以上の木質バイオマス発電設備を対象にヒアリングを実施した結果、発電効率は32%だった。年間の発電量は2割以上も多くなる。

 こうした発電効率の差をもとに、一般木質バイオマス発電の出力2万kW以上を別区分に設定する。現行の買取価格は24円(税抜き)だが、20円前後まで引き下げる見通しだ。このほかのバイオマス発電の買取価格は現行のまま据え置く(図8)。


図8 バイオマス発電の買取価格(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 2017年度から固定価格買取制度は抜本的に変わる。中小水力発電やバイオマス発電のほかに、風力発電と地熱発電の価格設定方法も新しくなる。従来は年度ごとに買取価格を決定していたが、2017年度から複数年先の買取価格を一括で決める(図9)。


図9 再生可能エネルギーの種類別の買取価格(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 太陽光発電を除いて設備の認定を取得するまでの期間が長いため、複数年先まで買取価格を設定することによって発電事業者が収益性を判断しやすくなる。当面は3〜5年先までの買取価格を設定する方向だ。12月5日に開催する次回の委員会で、風力・中小水力・地熱・バイオマス発電の買取価格を複数年先まで設定する案を検討する。

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