再生可能エネルギーで1857万世帯分の電力、バイオマスが1割を超える:自然エネルギー
資源エネルギー庁がまとめた固定価格買取制度の最新の集計結果によると、2016年8月に買い取った電力量が55億kWhを突破して過去最高を記録した。一般家庭の使用量に換算して1857万世帯分に相当する。全体の8割を太陽光発電が占める一方、バイオマス発電も順調に拡大して1割を超えている。
固定価格買取制度による再生可能エネルギーの導入・買取・認定量は引き続き拡大を続けている。2016年8月に運転開始(導入)した発電設備の規模は57万kW(キロワット)にのぼり、新たに認定を受けた発電設備も31万kWに達した(図1)。ここ数カ月間は毎月50万kW前後のペースで導入量が増えている。
導入量の増加に伴って、発電した電力の買取量も拡大している。2016年8月の買取量は55億7043万kWh(キロワット時)で、過去最高だった5月をわずかに上回った(図2)。一般家庭の使用量(月間300kWh)に換算すると1857万世帯分に相当する。電力会社などが8月に全国で販売した電力量は764億kWhだったことから、そのうちの7.3%を固定価格買取制度による再生可能エネルギーの電力(通称「FIT電気」)が占めた。
買取量を再生可能エネルギーの種類別に見ると、太陽光発電とバイオマス発電が大幅に伸びる一方、天候の影響で風力・中小水力・地熱発電の買取量は前月と比べて減少している。太陽光は出力10kW未満の住宅用と10kW以上の非住宅用を合わせて買取量の81%に達し、次いでバイオマス発電が11%を占めた。風力発電は5%、中小水力発電は3%で、地熱発電は0.1%にとどまっている。
8月に固定価格買取制度の認定を受けた31万kWの発電設備のうち、最も多かったのはバイオマス発電で13万kWにのぼった。太陽光は住宅用が7万kW、非住宅用が9万kWで、再び増加する傾向が見られる。5月までは非住宅用の太陽光発電の認定を取り消す件数が数多く発生して、認定量がマイナスになる月が続いていた。
バイオマス発電では海外から輸入する木質燃料(固定価格買取制度では「一般木質」に分類)を利用する設備の規模が圧倒的に大きい。8月に認定を受けた中では、愛知県の半田市で5万kW、田原市で同じく5万kWの発電設備が認定を受けている。和歌山県の御坊市でも1万kWの一般木質バイオマス発電が認定を受けた。
このほかメタン発酵によるバイオガス発電の認定が全国各地で相次いだ。北海道の苫小牧市と士幌町、三重県の伊賀市では2カ所で、さらに鹿児島県の南九州市と沖縄県の石垣市でもメタン発酵を利用したバイオガス発電設備が認定を受けている。
関連記事
- バイオマス産業を2025年に5000億円へ、発電と熱利用で経済価値を拡大
農林水産省はバイオマスの活用を推進する国の基本計画を6年ぶりに改定する。従来は2020年にバイオマス産業の規模を5000億円に拡大する目標だったが、発電以外の用途が伸びなかったため2025年まで期間を延ばす。新しい基本計画では熱利用を増やしてバイオマスの経済価値を高める方針だ。 - 2017年度の買取価格が大筋で決まる、太陽光発電は2円の引き下げ案が有力
固定価格買取制度の改正に合わせて、2017年度の買取価格の検討が政府の委員会で急ピッチに進んでいる。太陽光発電では住宅用・事業用ともに2円程度を引き下げる方向だ。大規模な太陽光発電に適用する入札方式の実施規模も確定した。風力発電は2019年度までの3年間に4円程度を低減していく。 - 固定価格買取制度の電力が増え続ける、5月に過去最大の1850万世帯分を供給
再生可能エネルギーの電力の買取量が2016年5月に最高記録を更新した。月間で55億kWhに達し、一般家庭の使用量に換算して1850万世帯分になった。太陽光に加えて中小水力やバイオマスの発電量が増えている。下水などの廃棄物からバイオガスを生成して発電する設備が各地で運転を開始した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.