世界のエネルギー革新に、ゲイツ氏や孫氏が1000億円超のファンド創設:自然エネルギー(2/2 ページ)
クリーンエネルギー分野の技術開発を対象に、世界の有力な投資家が集まって10億ドル超のファンドを創設した。電力・交通・農業・製造業・建築物が排出する温室効果ガスを抑制するための技術開発に投資する。世界20カ国以上の政府とも連携して今後5年間に各国の投資額を倍増させる計画だ。
世界22カ国と欧州連合も協力
ファンドを運営するBreakthrough Energy Coalitionは単独でクリーンエネルギーの技術開発を促進するのではなく、世界各国の政府や企業と連携して投資を加速させていく。その中でも先進国22カ国と欧州連合が加盟するクリーンエネルギーの推進機関「Mission Innovation」とパートナーシップを組み、今後5年間で各国の投資額を倍増させる方針だ。Mission Innovationは2015年に設立した国際的な組織で、日本政府も参画している(図3)。
Breakthrough Energy CoalitionにはIT(情報技術)の有力企業の創業者や世界的に著名な投資家が集まっている。IT産業からはゲイツ氏と孫氏のほかに、アマゾンのジェフ・ベソス氏、セールスフォースドットコムのマーク・ベニオフ氏、リンクトインのリード・ホフマン氏、アリババグループのジャック・マー氏、SAPのハッソ・プラットナー氏、ヒューレットパッカードのメグ・ホイットマン氏、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ夫妻が名を連ねる。
投資家では前ニューヨーク市長でブルームバーグ創業者のマイケル・ブルームバーグ氏、バージングループ創業者のリチャード・ブランソン氏をはじめ、日本でも広く知られているジョージ・ソロス氏やジョン・ドーア氏といった、そうそうたるメンバーが勢ぞろいした。個人以外では米国カリフォルニア大学がメンバーに加わり、世界各地の革新的な研究開発の事業化を支援していく。
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