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太陽光発電の買取価格は事業用を21円に、風力発電は3年後に19円へ自然エネルギー(2/4 ページ)

2017年度に認定を受ける再生可能エネルギーの発電設備に対する買取価格の案がまとまった。太陽光発電は事業用が3円減の21円に、住宅用も3円減の28円に引き下げる。風力発電は2019年度まで1円ずつ下げていく。中小水力発電とバイオマス発電は大規模な設備に限定して買取価格を低減する。

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買取価格を引き下げて国民負担を軽減

 毎年度の買取価格は発電設備の導入費や運転維持費の最新データをもとに、発電事業者が一定の利益を上げられるように算定している。事業用の太陽光発電の買取価格が2017年度に3円安くなる根拠は、発電システムの導入費と運転維持費が下がったことに加えて設備利用率(出力あたりの年間発電量)が上昇したことにある(図3)。


図3 太陽光発電(出力10kW以上)の買取価格の算定根拠(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 発電システムの費用は2016年度の買取価格を算定した時点では25.1万円/kWだったが、直近の実績データでは24.4万円/kWまで低下した。出力が1000kW以上の太陽光発電システムのうち、低いほうから上位25%に入る「トップランナー」の実績値を採用している。

 政府は固定価格買取制度の改正に伴う買取価格の算定にあたって、再生可能エネルギーの最大導入と国民負担の軽減の両立を目指した。買い取った電力の費用の一部は電気料金に上乗せして回収するため、可能な限り買取価格を抑えながら導入量を拡大することが求められている。太陽光発電の買取価格の算定にトップランナー方式を採用したのは、住宅用を含めて発電事業者にコストの低減を促すためである。

 新たに住宅用の太陽光発電の価格算定にもトップランナー方式を導入した。直近の実績データによると、上位25%に入る発電システムの費用は30.8万円/kWだった。現行の買取価格を算定した時点の35.3万円/kWと比較して1割以上も安くなっている。

 ただし住宅用の場合にはコストダウンの動きが広まるまでに一定の期間を必要とすることから、3年後の2019年度までに30.8万円/kWへ段階的に低下していくことを想定した(図4)。加えて運転維持費の低減も織り込んだ。この結果、買取価格は2019年度に24円まで下がる。


図4 太陽光発電(出力10kW未満)の買取価格の算定根拠(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 政府は2017年度以降の買取価格を算定するための参考値として、将来の価格目標を設定した。太陽光発電では事業用(非住宅用)の発電コストを2020年に14円へ、住宅用の売電価格を2019年に24円まで低減する目標だ(図5)。2019年度の住宅用の買取価格は目標に合致する。


図5 太陽光発電の価格目標。NEDO:新エネルギー・産業技術総合開発機構。出典:資源エネルギー庁

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